工夫を凝らした極上ディナー
終日航海2日目の朝食後はアクティビティーに参加したり、改装された船内を散策したりしてゆったりとした時間を過ごした。海も穏やかで目の前の御蔵島、少し離れたところに三宅島と伊豆諸島の景色が続く。気温も横浜より5度は高く、日中は上着がいらないほどだった。現在は乗客の数を減らしての運航なので、船内もゆったりとした空気が流れている。一人でも楽しめるアクティビティー「謎解きウォークラリー」をしている乗客にも何人かすれ違った。増田裕太クルーズディレクターは「こういう時だからこそ、スタッフが知恵を絞って新たに生まれたアクティビティーがたくさんあります。その中の一つがウォークラリー。好評をいただいているようで何よりです」。
●おいしさへのこだわり
夜のお楽しみは30周年アニバーサリーディナーだ。通常だとメインディッシュなどは数品からチョイスする方式だが、今夜は瀧淳一11代目総料理長が作った渾身の8皿のスペシャルコースメニューとなっている。
「初代飛鳥の伝統の味、そして新たな発想を交えたメニューにしました。それ以外でのこだわりといえば、料理に使われているコンソメは実は船内で作っているんですよ。手間がかかるものなので外注するレストランもあるのですが、飛鳥では船内で一から手作りしています。そしてフォン・ド・ボーも」と瀧総料理長。素材や盛り付けにこだわるだけではなく、料理の味を決めるものにも手間を惜しまないところが、飛鳥のおいしさを支えているのだと感心した。現在、最大で3泊4日のクルーズだが、もっと長いクルーズが再開された時に「どんな料理を作ろうか、お客さまに沢山の料理を召し上がっていただきたい」と今から準備を進めているとも言っていた。
そんなシェフの熱い思いが今宵の料理にも感じられた。低温調理のサーモン、混ぜてから初めて味が完成する目にも鮮やかなサラダ、そしてご自慢の自家製コンソメの料理など。盛り付けと味のみならず、調理法や食べ方までバリエーション豊かな食の世界が展開されており、最後のデザートまで素晴らしかった。