人生を彩る、にっぽん丸の週末

人生を彩る、にっぽん丸の週末
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2022.06.27
スポーツデッキで行われた海ヨガ。絶景の中のヨガは本当に気持ちいい。今回のエンターテイナー・荻野目洋子さんも参加したとMCで語っていた

モーニングティー&コーヒーでスッキリとした目覚めの後、客室から見える風景にしばし見惚れた。木々一本一本の形態が判別できそうなほど近い距離に、対岸が見える。リアス式海岸の伊勢志摩では、入港シーンはもちろん、停泊中も絶景が楽しめる。

 

そんななかで楽しみにしていたイベントがあった。スポーツデッキで行われる「海ヨガ」だ。インストラクターの奥に広がるのは、伊勢志摩の起伏ある地形と、ゆったりとした海。なんとぜいたくなシチュエーション……!

デッキに敷かれたヨガマットの上にごろりと寝転んで青空を見上げると、ゆっくりと流れゆく雲だけが視界に入る。なんだか自分が浮遊しているような、不思議な感覚だ。風の音が聞こえてくるなか、インストラクターの声が静かに響く。「ゆっくりと呼吸を整えて、ご自身の体の声に耳を傾けてください」。幸せな、心から癒される時間とは、こういう瞬間というのではないだろうか。心地よさにとろけそうな感覚になりながら、そう感じた。

寄港中、丸窓からの景色
通船用に多くの働く船が出動していた。客船の寄港に地元の協力は欠かせない

その後も午前中は船内イベントを満喫した。まずはフラダンス講座。先生は単に踊り方を教えてくれるだけでなく、フラのひとつひとつのポーズに込められたメッセージを教えてくれる。トロピカルな花が描かれた先生のドレスと相まって、シアターにはほんのりとハワイのリゾートのような空気が流れた。

 

続いて行われたのは、中国茶講座だ。長らく横浜中華街で中国茶販売に携わっていたという先生は博識で、中国茶に対してはほとんど知識を持ち合わせていない身にも、興味がわくストーリーを教えてくれた。試飲はもちろん、湧き上がってくるような香りも楽しませてくれて、中国茶の奥深さに触れる時間となった。

 

フラダンスも中国茶も、乗り合わせたクルーズで、ほんのさわりだけを教えてもらったにすぎない。けれどもそのひとときの時間で、自分の中に知識がほぼゼロだったものが、少しだけ「かじった」気分になった。実際、下船後に先生に教えてもらった中国茶を買いに走ったりもした。クルーズでは人との出逢いはもちろん、寄港地や船内で、さまざまな「知」との出逢いもある。単に参加して楽しいだけでなく、クルーズはその後の人生にも彩りを与えてくれる……そんなことをつくづくと感じた。

中国茶の講師・辻元真琴先生は横浜中華街の中国茶専門店「悟空茶荘」の元店長。丁寧でわかりやすい説明に参加者が聞き入った
フラダンスの講師・Kaoru Kakinuma先生のわかりやすい指導により、参加者は短時間で1曲通して踊れるように

たっぷり船内イベントを楽しんでランチをした後は、船を下りて伊勢神宮へ。大きな岸壁のない伊勢志摩では、通船で上陸する。久々に通船に乗り、洋上に浮かぶにっぽん丸の秀麗な姿を望みつつ上陸するのは、それ自体がなんだかちょっとしたアトラクションのようで楽しかった。

 

訪れたお伊勢さんは、やはりコロナ禍の終焉を感じるほどに、にぎわいに満ちていた。おかげ横丁ではおいしそうな香りを漂わせながら、食べ歩きを楽しんでいる人も多い。

 

古くから一生に一度は行きたいと願う人が多い、お伊勢さんへの参拝。別名「おかげ参り」とも言い、〇〇〇のおかげ、という意味も込められているという。〇〇〇に入る部分には、天照大神だったり、参拝の道中で助けてくれた人だったりと諸説あるようだが、少なくとも今回はそこに「にっぽん丸のおかげ」というのも入ってきそうだ。伊勢神宮に参拝をしながら、昔の人が何日もかけて参拝した道を、にっぽん丸を満喫しながら楽々来られることに感謝した。

伊勢神宮内宮では参拝を待つ人で行列ができていた
江戸から明治期の建築物を再現したおかげ横丁。買い物や食べ歩きの人で活気があった
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