ぱしふぃっくびいなす、
“地元ならでは”を訪ねて、秋深まる別府・宮島
地元に愛された店で憩う
4日目、ぱしふぃっく びいなすは宮島に向かって瀬戸内海を航行していた。宮島には小型カーフェリー用の桟橋はあるが、同船を係留できる場所はない。そこで、瀬戸内海をめぐるレストラン船「銀河」をチャーターし、乗客を宮島まで運ぶというのが今クルーズの見どころの一つでもあった。
7時、宮島沖に投錨したぱしふぃっく びいなすに「はしけ」を引いたタグボートと作業船がやってきて右舷中央に固定。このはしけを浮桟橋代わりにして銀河が接舷し、乗客が移乗する。銀河の上岡勉船長は、「はしけ」を使うことで、ぱしふぃっく びいなすに銀河を直接接舷するよりも安定した状態で乗り移ることができるようになったと教えてくれた。
銀河での宮島桟橋までの約15分の航海は、テンダーボートと比べてかなり快適だ。特に3階はチーク材を敷き詰めたウッドデッキが全周に設けられていて、歩き心地がよい。思い思いの方向から瀬戸内海の景観を楽しめるのも銀河ならではだ。
さらに、今回の宮島寄港は大潮の満潮時に近く、厳島神社の大鳥居に運良くいつも以上に近づくことができた。他のフェリーでも、ここまで近づくことはなかなかできないという。
●地元の食材を大事に
船内で他の乗客と会話していると、「この船の料理がお気に入りで」という話をよく耳にした。藤原誠治料理長は、「季節を感じさせるメニューはもとより、寄港地の食材を使ったメニューを大事にしています」と語る。今クルーズでは地元の食材として、広島県の企業が開発した「広島赤鶏」を取り入れた。適度な運動ができる広い敷地で、ブロイラーの2倍となる約80日間育てられる広島赤鶏は身の締まりがほどよく、それでいて地鶏のように固くならないのが特徴だ。
寄港地の食材を使ったメニューには地元の協力が欠かせない。「寄港地の自治体や観光協会などから食材に関する情報だけでなく、その食材の調理法などを教えていただけることも多いです」(藤原料理長)。