新たな海を拓く船、MITSUI OCEAN FUJI

さらに特筆すべきは日本のフランス料理を革新し続けてきた三國清三シェフが監修するメニューが並ぶ「北斎 FINE DINING」(予約制有料)だ。同シェフは2024年に37年続けた四谷のレストラン「オテル・ドゥ・ミクニ」の幕を下ろしたばかり。そして洋上で新たに提供する味は、「オテル・ドゥ・ミクニを再現しています」と胸を張る。シャンパンやワインには三國シェフ自身がセレクトしたものも。かつてオテル・ドゥ・ミクニに足を運んだ人は懐かしく、初めての人は洋上でこそ味わえるフランス料理の真髄に舌鼓を打つだろう。
北斎FINE DININGでは前菜、スープ、サラダ、メイン料理にデザート、プティフールと続くプリフィックスメニューを提供。前菜、メイン料理は好みに合わせてチョイスが可能だ。デザートの前にはワゴンで運ばれてくる多彩なチーズも用意されているから、ぜひともお腹をすかせて美食の世界へ飛び込みたい。


癒やしの場であり社交の場でもある
この船を象徴する、つい足が向く空間
これぞ三井オーシャンフジだと思った施設がある。「公室でどこが好き?」と聞かれても、同じ場所を挙げる。デッキ7にあるMITSUI OCEANスクエアだ。
海外のラグジュアリー船では、ホテルのように並んで待つレセプションより、デスクに座って相談できるスタイルが一般的だ。このMITSUI OCEANスクエアはそうしたデスクスタイルのサービスデスク機能に加え、カフェ、そして図書コーナーの機能も兼ね備えている。デッキにも出られるし、時間によってはここでイベントも開催される。終日航海日にはゆったりと本を広げ、読書を楽しむ人の姿も。ここはリラックスするスペースであり、社交の場でもある。


このMITSUI OCEANスクエアでは、紅茶やコーヒーは無料でオーダーが可能だ。さらにショーケースに美しく並んだ軽食やスイーツも無料で楽しめる。朝はサラダやヨーグルト、お昼は各種パンなど、そしてその後はスイーツなど、常時8~10種類が並ぶ。
三井オーシャンフジはもともと外国船として運航されてきた船だけに、船内のギャレー(調理施設)はパンを焼く機能が充実しているという。クルーズ中は日替わりでパンが並び、クロワッサンやデニッシュのほか、時にはていねいに作られたあんパンも提供されていた。どれでも好きなものを気兼ねなくオーダーできるのがうれしい。
「ラグジュアリー船の重要な要素のひとつが、自分の好きなようにのびのびと気兼ねなく過ごせること」。同船のハンセン船長はそう語ってくれた。MITSUI OCEANスクエアはまさにそれを体現するスペースだ。


