天草――
時を超えてなお物語を紡ぐ
独自の発展を遂げる文化の島
時を超えてなお物語を紡ぐ
独自の発展を遂げる文化の島
小さな﨑津集落は見どころが凝縮。現地ツアーは港から徒歩で出発し、ガイドとゆったりめぐった。
集落のシンボル、﨑津教会は、1934年に現在の地へ再建された。禁教時代に絵踏が行われた吉田庄屋役宅跡に建つこの教会は、絵踏が行われた場所に祭壇が設けられている。ゴシック様式の外観に対し、堂内は畳敷きという珍しい造りだ。
鳥居越しに教会を望む﨑津諏訪神社もまた、潜伏キリシタンたちが祈りを唱えた信仰の場所だ。彼らは参拝のふりをしながら、密かに祈りを捧げたという。
玄関にしめ縄を掲げる家々も印象的だった。禁教下にキリシタンだと疑われないよう、神道で使うしめ縄を年中、軒先に飾った風習の名残だという。かつて住民の7割以上が潜伏キリシタンだったと伝わるこの地には、今もその痕跡が暮らしの中に息づいている。
参加者からはガイドへの質問が相次ぎ、日本の伝統や宗教とキリスト教が織りなす独特の文化や景観への関心の高さがうかがえた。

1647年に創建された﨑津諏訪神社。裏手には展望台への石段が続く
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1647年に創建された﨑津諏訪神社。裏手には展望台への石段が続く

一年を通して飾られる“しめ縄”
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一年を通して飾られる“しめ縄”

﨑津名物「杉ようかん」は琉球王国から伝わった銘菓
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﨑津名物「杉ようかん」は琉球王国から伝わった銘菓
上島と下島を中心に、約120の島々からなる天草。﨑津集落のある下島は、外周を車でめぐるだけでも約2時間を要する広さで、見どころが尽きない。
祈りの歴史により深く触れるなら、大江教会や天草キリシタン館へと足を運ぶとよいだろう。
天草は日本一の陶石の産地としても名高い。良質な陶石に加え、陶土にも恵まれたこの地では、17世紀頃からやきものづくりが始まり、現在も多くの窯元が点在する。決まったスタイルに縛られない天草の器。窯元をめぐる旅も一興だ。
また、海に囲まれた天草は、自然美あふれる絶景や、新鮮な海の幸をはじめとする絶品グルメの宝庫だ。近年は、日本最西端のホップ畑から生まれたクラフトビールなど、本土から人をひきつける新たなカルチャーも芽吹いている。

丘の上に立つ白亜の大江教会はキリスト教解禁後、天草で最も早く建てられた。現在の建物は1933年に建立。天草におけるキリスト教の歴史を感じられる場所
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丘の上に立つ白亜の大江教会はキリスト教解禁後、天草で最も早く建てられた。現在の建物は1933年に建立。天草におけるキリスト教の歴史を感じられる場所

天草キリシタン館は、絵踏に使われた踏絵や島原・天草一揆で使用された武器など、天草キリシタン史を4つのゾーンに分けてわかりやすく展示する資料館。国指定重要文化財の天草四郎陣中旗は、年に4回実物を公開する
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天草キリシタン館は、絵踏に使われた踏絵や島原・天草一揆で使用された武器など、天草キリシタン史を4つのゾーンに分けてわかりやすく展示する資料館。国指定重要文化財の天草四郎陣中旗は、年に4回実物を公開する

天草西海岸を代表する岩礁・妙見浦。十三仏公園側から望むと、海で遊ぶ象に見えることから、「ぞうさん岩」とも呼ばれる。ダイビングスポットとしても人気
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天草西海岸を代表する岩礁・妙見浦。十三仏公園側から望むと、海で遊ぶ象に見えることから、「ぞうさん岩」とも呼ばれる。ダイビングスポットとしても人気

創業から70余年にわたり、地元で名店と名高い老舗寿司店「蛇の目寿司」では、天草灘の豊かな海で育った魚介を、職人の技が光る握りで堪能できる
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創業から70余年にわたり、地元で名店と名高い老舗寿司店「蛇の目寿司」では、天草灘の豊かな海で育った魚介を、職人の技が光る握りで堪能できる

自社栽培の無農薬ホップをはじめ、地元産原料のクラフトビール造りに取り組む「AMASUSA SONAR BEER」。パール柑や晩柑など天草の特産品を使用した多種多様なクラフトビールを手がける
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自社栽培の無農薬ホップをはじめ、地元産原料のクラフトビール造りに取り組む「AMASUSA SONAR BEER」。パール柑や晩柑など天草の特産品を使用した多種多様なクラフトビールを手がける

1762年開窯の「高浜焼 寿芳窯」。天草陶石の中でも最高級の白い石だけを使い、白く薄く透明感のある器を生み出す。海藻の文様「海松紋」をモチーフにした古高浜焼の復興にも尽力。隣接の資料館では、その歴史をたどることができる
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江戸時代末期に甕屋として創業した「丸尾焼」。生活陶器を中心に、近年は天草陶石を使った磁器も制作している
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