祈りの聖地、天草をゆく

祈りの聖地、天草をゆく
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2025.06.27
長部田海床路は日本一干満差のある有明海に面する。海上に渡る道は、沖合いの海苔の養殖網群へ向けたもの。並んで立つ電柱は、漁船が安全に通れるように夜間は明かりを灯す
熊本・宇土・宇城――
歴史と暮らしが重なる道を歩き
磨き上げられた〝今〟に出会う

天草から熊本空港や熊本市内へ向かう道のりは、県内屈指のドライブルートとしても知られている。九州本土と天草を結ぶ「天草五橋」をはじめ、海や島々が織りなす美しい風景が連続し、移動そのものが旅のハイライトとなるだろう。

 

途中、北回りルートの宇土市を通るなら、干潮時にだけ姿を現す「長部田海床路」へ。海の中に電柱が並ぶ幻想的な風景が広がり、SNSでも話題となっているスポットだ。

 

南回りの宇城市ルートでは、歴史ある港町・松合へ立ち寄りたい。なまこ壁が印象的な白壁の町並みは、かつて醸造と漁業で栄えた面影を今に伝える。丘の上には、老舗の松合食品の直営店があり、名物「丸大豆醤油ソフトクリーム」でひと息。事前予約で1名から工場見学できるのもうれしい。

徳川時代から醤油の街として栄えた松合エリア。松合白壁土蔵群は不知火海に面し、昔ながらの白壁土蔵の家並みが今も残る。細い路地には猫の姿もあり、風情ある散策が楽しめる
CRUISE GALLERY
徳川時代から醤油の街として栄えた松合エリア。松合白壁土蔵群は不知火海に面し、昔ながらの白壁土蔵の家並みが今も残る。細い路地には猫の姿もあり、風情ある散策が楽しめる
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できる限り地元産の原料で添加物を排した天然醸造に真摯に取り組む「松合食品本社直売所」。不知火湾を見下ろす小高い丘の上にある直売所には、ヤマアの名前で知られる醤油・味噌・酢などの各商品がずらりとそろう
できる限り地元産の原料で添加物を排した天然醸造に真摯に取り組む「松合食品本社直売所」。不知火湾を見下ろす小高い丘の上にある直売所には、ヤマアの名前で知られる醤油・味噌・酢などの各商品がずらりとそろう

熊本城の城下町として栄えた熊本市。歴史と日常が交差するこの町は、気の向くままに堪能したい。

 

熊本城の西に広がる新町は、かつて武家屋敷が並んだ歴史ある地区。「日本料理 おく村」は、熊本に受け継がれる料亭文化を現代の感性で丁寧に表現する一軒。熊本の粋が育まれたこの地にふさわしい繊細な料理が、器使いや設えとともに心を満たしてくれる。

 

熊本城の南側に位置する唐人町は、歴史と現代が融合する注目のエリアで、碁盤の目状の町には町屋をリノベーションした店やカフェが点在する。そこで築120年の町屋を活用した「珈琲回廊」は、新たなランドマークだ。ギャラリースペースもあり、文化の交差点として町に刺激を与えている。

 

今も職人文化の面影を色濃く残す南区の川尻では、伝統工芸の販売や体験を行う「くまもと工芸会館」でものづくりの精神を感じてみては。同地区で1867年創業の「瑞鷹」は、阿蘇山系の伏流水と熊本酵母を用いた酒造りを続け、地酒文化を支えてきた存在だ。利き酒や酒蔵見学を通して、長く愛される地酒の味はもとより、その歴史や奥深さを体感できるだろう。

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歴史と文化を見守ってきた老舗料亭「日本料理 おく村」では、熊本の風土を味わい尽くせる。調度品の中には歴史的価値を持つものも多く、空間全体がまるで文化財のような趣だ。茶室での体験も可能
歴史と文化を見守ってきた老舗料亭「日本料理 おく村」では、熊本の風土を味わい尽くせる。調度品の中には歴史的価値を持つものも多く、空間全体がまるで文化財のような趣だ。茶室での体験も可能
約11カ国20種類の生豆を、注文を受けてから焙煎する本格珈琲店「珈琲回廊」。近くには同店が手がける和菓子店「虎之助(TORANOSUKE)」があり、店内でもその和菓子を楽しめる
CRUISE GALLERY
約11カ国20種類の生豆を、注文を受けてから焙煎する本格珈琲店「珈琲回廊」。近くには同店が手がける和菓子店「虎之助(TORANOSUKE)」があり、店内でもその和菓子を楽しめる
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老舗酒蔵「瑞鷹」。大正時代に建てられた蔵を活用した直営店「東肥大正蔵」には、長期熟成用の樽貯蔵庫も併設。伝統を守りながらも、新たな挑戦をし続ける
老舗酒蔵「瑞鷹」。大正時代に建てられた蔵を活用した直営店「東肥大正蔵」には、長期熟成用の樽貯蔵庫も併設。伝統を守りながらも、新たな挑戦をし続ける
CRUISE2025年夏号に掲載
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