ダイヤモンド・プリンセスの日本発着
世界と出会う、味わう、楽しむ
海の上の多国籍リゾートへ
■新たな視点で日本を見つめる
船内には、インテリアが異なるメイン・ダイニングが5カ所あり、さらに特別感のあるイタリアン・レストラン「サバティーニ・イタリアン・トラットリア」(有料)、カジュアル・ダイニングなどがあり、エレガントな雰囲気で多様な食事を楽しめた。日本発着でのみ提供される和食メニューもあり、朝食では、ゲストのアイデアで定番になったオムライスもおいしい。
プリンセス・クルーズに勤務25年目のイタリア人エグゼクティブ・シェフ、ジャンカルロ・セマラーロ氏によると、サバティーニ・イタリアン・トラットリアのパスタはイタリアから取り寄せたこだわりの小麦粉で作るホームメイドなので、ぜひ味わってとのこと。また、プールサイド「プレーゴ」のピザはイタリアンピッツァですよ、と。たしかにおいしくて、何度もいただいた。
航海中、強風で秋田港への寄港が急きょなくなり、航海日が一日増えた。けれど船内あちこちで気軽に参加できるイベントや、露天風呂も備えた「泉の湯」(有料)、スパ、シアターでのショーなど目白押しなので、快適なクルーズライフをそのまま満喫した。
乗船中、知らない人とも気さくに交流する雰囲気も、外国船の特徴だろう。食事時に近くの席のアメリカ人夫妻と会話がはずみ、彼らのプリンセス・クルーズの思い出話を聞くうち、すっかり外国にいるような気分になるのだった。




■日本の手仕事の美を知る
その翌朝は晴れ、美しい山脈が陸地の方に見えてきたと思ったら、立山連峰のシルエットだった。そして船は、富山・伏木港にスムーズに入港した。
寄港地でのツアーは日本語ガイド、英語ガイド、どちらかのツアーを選ぶシステムだ。ここでは日本語ガイドで、木彫刻の町・井波と五箇山の相倉合掌造り集落をバスでめぐるツアーに参加した。タイムリーにも、井波はアメリカの著名な旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」に、2025年の「世界の静かな場所50選」のひとつとして選ばれたそう。

落ち着いたたたずまいの木造建築の商店が並ぶ井波の八日町通りを歩くと、その先に、この町を木彫の里として決定づけた仏教寺院「井波別院瑞泉寺」の江戸時代築の山門が現れた。ひと目見て、明らかに普通と違う壮麗な木彫装飾がわかる。立派な本殿と隣の太子殿にも、宮大工と木彫職人が技を極めた、美しく洗練された木彫りの装飾が施されていた。現在も井波には、木彫り職人が約100名いるという。残念ながらいろいろ見る時間が足りなかったが、再訪したい場所となった。


その次に向かったのは、山奥深い五箇山の相倉合掌造り集落だ。緑豊かな小さな谷に、約100~350年前に建てられた20棟の合掌造りの家屋が点在する。のどかな畑沿いの道を歩いて、それらを見て回った。現在は民宿のほか、資料館になった家屋もあり、訪問して内部を観察したり。ある家屋では、ちょうど茅葺屋根を修復作業していて、今につながる伝統を目にできたことに感動しなが帰船した。
外国情緒あふれるダイヤモンド・プリンセスでの船旅で、いつしか自分も外国人目線になっているのか、日本各地の伝統や手仕事に出会い、なんだか新鮮な美しさと愛おしさを感じられたのだった。



ぐるり本州一周クルーズ 10日間 B
日程:2025年9月20日(土)~9月29日 (月) ※取材は20~24日
コース:横浜~秋田~伏木富山~敦賀~境港~釜山~長崎~横浜
クルーズ代金:15万9000円(内側)~82万4000円(グランド・スイート)
※料金はプリンセス・スタンダードの2名1室利用時1名分
船名:ダイヤモンド・プリンセス(プリンセス・クルーズ)
総トン数:11万5875トン
乗客定員:2706人/乗組員数:1100人
問い合わせ先:プリンセス・クルーズ www.princesscruises.jp/
