●緑豊かな「どぅなんちま」
翌日、日本最西端の与那国島に寄港。船上から眺めた島は、島を囲む断崖の上一帯に緑濃い牧草地が広がり、深い青色の海に映えてとても美しかった。与那国島は島のことばで「どぅなんちま」と呼ぶと島の人に教えてもらった。
午後から寄港地ツアーに参加し、まず東崎に向かった。東崎には広大な東牧場が広がり、ヨナグニウマなどが放牧されている。ヨナグニウマは日本の在来馬8種類のうちの一種で、現在約130頭が島内で飼育されているという。小柄で、温和な性格といわれているとおり、近づいても逃げることなく優しい目で草を食んでいた。
牧場の出入り口の道路には格子状の溝、テキサスゲートが設置されており、牛や馬が敷地から出ないようになっているので、ヨナグニウマは自由気ままに敷地内のどこにでも行ける。ツアーバスから降り、歩いて近づける場所にいてくれたのはラッキーだった。
そして、日本最西端の碑が立つ西崎へ。この場所からたった1 1 1キロメートル先に台湾があり、完璧に晴れ渡り条件のそろった時、島影が見える。年に3、4回のことだそうで、その際には防災無線が流れ、島民がカメラをかついでやってくるのだという。
西崎の物見台から久部良漁港のほうへ目を向けると、海底のサンゴが透けて見えるほど透明度の高い海を確認することができた。汗に肌がしめるほどの陽気だったが、湿気を含んだ、涼やかな風の清々しさが際立つように感じた。
ツアー道中、車内からあちこちに長命草の畑を見かけた。昔から与那国島に自生していたが、パワーベジタブルと呼ばれるほど高い栄養価が注目され、今では約1 0 0人が栽培している。「1株食べると1日長生きする」との言い伝えがあるとドライバー兼ガイドさん。この日の美ら海カフェでは長命草ドリンクが供されていた。“長生き”の味は、よもぎ餅のようなにおいで青臭さは感じられず、甘酸っぱく飲みやすかった。
翌朝9時過ぎ、下船。その足で今年2月に開園した首里城の“奥の世界”御内原エリアを訪ねた。
「飛んでクルーズ」は、言わずもがなクルーズエリアまで飛行機で向かうので、旅の日程をコンパクトにできるのも魅力。その分、前後に旅程をプラスしやすい。沖縄の別エリアに足を延ばすも良し。今回は当日の夕方の飛行機をとっていたが、朝早くの着岸だったので、那覇近郊の観光なら十分に堪能することができた。
■飛んでクルーズ沖縄 Dコース
日程:2019年4月19日(金)〜22日(月)
コース:那覇〜伊江島〜与那国島〜那覇
クルーズ代金:11万5000円(スタンダードステート)~61万9000円(グランドスイート)
船名:にっぽん丸(商船三井客船)
総トン数:2万2472トン
乗客定員:524人(最大)/乗組員数:230人