「飛鳥Ⅱ」でめぐる夏の北海道
再訪の地で見る、新たな景色

「飛鳥Ⅱ」でめぐる夏の北海道 再訪の地で見る、新たな景色
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2026.08.28
「OcciGabiワイナリー」のレストラン周囲には、手入れの行き届いた庭園が広がり、訪れた日は色とりどりの花が咲き誇っていた

飛鳥Ⅱを下船しても、今回の北海道旅はまだ終わらない。向かったのは、余市だ。小樽からのアクセスもよく、気軽に足を延ばせる距離にある。

 

「A-plus」が提案するのは、飛行機とクルーズを組み合わせ、乗船前後の時間も自由に楽しむ旅のスタイルだ。

 

北海道を旅する機会はこれまでにも何度かあったが、小樽を起点に旅を考えたことはなかった。クルーズの発着地を起点にすると、いつもの旅とは違う新たな選択肢が見えてくるのも面白い。

 

■世界が注目する、余市のワイナリーへ

 

余市で最初に訪れたのは「OcciGabi Winery (オチガビワイナリー)」だ。

 

近年、ワイン産地として存在感を高めている余市。町内にはいくつものワイナリーがあるが、見学できるところはそう多くない。「OcciGabi Winery」では、醸造施設まで見学できるガイドツアー付きランチプランがあり、事前に予約しておいたのだ。

 

ワイナリーへ向かう道から、すでに気分が高まる。車窓の両側にはぶどう畑が広がり、「ワインの産地に来たのだ」と実感する。丘の上に立つレストランからは、眼下に広がるぶどう畑を一望。丁寧に手入れされた畑や庭園からは、人の手で大切に育てつくり上げてきた美しさが感じられた。

 

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今後は敷地内に宿泊施設を設ける構想もあるという。温泉も掘削し、将来はぶどう畑を眺めながら滞在できるワイナリーを目指す
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ぶどう畑を望むレストラン。ランチタイムはショップともども予約なしでも利用可能だ
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オーナーの落希一郎さん。収穫などには顧客も参加するなど、造り手と飲み手が直接つながる仕組みを大切にしている
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地下の醸造施設では、ぶどうを搾る機械やタンク、樽、瓶詰め設備など、実際に使われているワイン造りの設備を見学

さらに興味深かったのが、ワイナリーを地域に開かれた場所にしたいという話だ。敷地内ではコンサートなども開催し、地域の人が文化に触れられる機会をつくってきた。「ワインを造る場所」であると同時に、人が集まり、交流が生まれる場所を目指していることが伝わってきた。

 

見学の後は、先ほど眺めていたぶどう畑を望むレストランでランチへ。余市の食材を取り入れたフレンチベースのコースとともに、この土地で造られたワインをじっくりと味わった。

 

■OcciGabi Winery (オチガビワイナリー)

北海道余市郡余市町山田町635

https://www.occigabi.net/

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ガイドツアー付きランチプラン(6,600円)には、ランチコースに2種のワインがつく。白は旨みとボリューム感のある辛口「ピノ・グリ」。併設のレストランでは、約15種類のワインをグラス550円で楽しめる
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赤はフラッグシップの「アコロン」。しっかりとしたボディながら口当たりはまろやかで、余市麦豚のプルーンと赤ワイン煮とも好相性
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食後は、販売所へ。造り手の話を聞いた後は、持ち帰る一本を選ぶのにも自然と力が入る

■伝統のウイスキー造りを訪ねて

 

ワイナリー見学を終え、タクシーで10分ほどの「ニッカウヰスキー 北海道 余市蒸溜所」へ向かう。北海道でウイスキー造りを志した創業者・竹鶴政孝が、理想の地として選んだ余市に1934年に建設した蒸溜所だ。

 

見学では映像や展示でウイスキー造りの基本を知った後、ガイドとともに赤い屋根の歴史的建造物が並ぶ敷地を歩き、製造工程をたどっていく。途中ほのかに甘い香りが漂い始め、少しずつウイスキー造りの現場へ入り込んでいくような感覚になる。

 

なかでも楽しみにしていたのが、重要文化財にも指定される蒸溜棟だ。ポットスチルがずらりと並ぶ光景は、まさに思い描いていたウイスキー蒸溜所そのもの。ここでは現在も、石炭を燃やしてポットスチルを熱する伝統的な「石炭直火蒸溜」が続けられている。

 

ところが訪れた日は、年に一度のメンテナンス期間。残念ながら窯の炎を見ることはできなかったけれど、静かな蒸溜棟を見られるのも、この日ならでは。夏場はかなりの暑さになるという話を聞き、涼しい中でじっくりポットスチルを眺められたのも、これはこれでよかったのかもしれない。

 

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蒸溜所内には予約なしで利用できる有料テイスティングバーやショップ、レストランも併設されるが、ガイド付きの蒸溜所見学は事前予約必須
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世界でも珍しい「石炭直火蒸溜」でポットスチルを使ったウイスキー造りを行う。職人が手作業で石炭をくべ、1,000℃を超える高熱が香ばしく重厚な原酒を生み出す
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ウイスキー造りの要となる“スモーキーな香り”を生み出すピートに実際に触れる
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仕込み・糖化から醗酵までは、ビール造りとも共通する工程。銀色のタンクが並ぶこの辺りには、もろみの甘い香りがふわりと漂っていた

最後はテイスティングホールへ。シングルモルト余市などを味わえるなか、思いがけず気に入ったのが「アップルワイン」だった。初めて口にしたその味わいに、ウイスキーとはまた違う新たな扉が開いたのを感じた。

 

■ニッカウヰスキー 北海道 余市蒸溜所

北海道余市郡余市町黒川町7丁目6

https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/

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テイスティングは、3種類。それぞれロックやソーダ割りなどおすすめの飲み方があり、自分でアレンジして楽しめる

■飛鳥から始まる、自分らしい旅

 

OcciGabi Wineryからニッカウヰスキー余市蒸溜所へ。下船後の余市滞在は半日ほどだったが、ワインとウイスキー、それぞれの造り手の思いや土地とのつながりに触れ、想像以上に充実した時間になった。

 

実は前夜、飛鳥Ⅱのマリナーズクラブで「竹鶴」を味わっていた。船上で何気なく楽しんだ一杯の故郷ともいえる場所を、翌日には訪ねている。飛鳥Ⅱに乗ることで、自分らしい旅へとつながっていく。船旅だけで終わらず、いつもと違う場所へ足を延ばし、新たな景色を知る。飛鳥Ⅱで訪れる二度目の北海道だからこそ知った、新しいクルーズの楽しみ方だ。

 

昨年と同じ航路を旅しても、初めて訪れる場所があり、初めて見る景色があり、新たに出会う味があった。前回知った楽しみを、今回はじっくり味わうこともできた。そして、今回もやり残したことがある。それさえも、次の旅の楽しみになっている。次にまたこの航路を旅したら、今度はどんな旅になるのだろう。そう思うと、わくわくする。

 

東京へ戻り、ふと「竹鶴」を目にしたら、きっと余市の景色とともに、飛鳥Ⅱで過ごした時間も思い出すだろう。そんなことを考えていたら、早くも飛鳥Ⅱが恋しくなってきた。

 

「飛鳥Ⅱ」でめぐる夏の北海道 再訪の地で見る、新たな景色
マリナーズクラブで味わった「竹鶴」
ペンアイコン取材メモ

A-plus 北海道 ~稚内・留萌~

日程:2026年6月28日(日)~7月1日(水)

コース:小樽〜稚内〜留萌〜小樽

クルーズ代金:230,000円(K:ステート)

〜1,085,000円(S:ロイヤルスイート)

船名:飛鳥Ⅱ

総トン数:5万444トン

乗客定員:872人/乗組員数:490人

取材協力:郵船クルーズ

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