「にっぽん丸」
北三陸・久慈の魅力とゆったりワンナイト

CRUISE STORY
クルーズストーリー
2019.08.27

●ゆったりワンナイトだからこそ、船旅の醍醐味もしっかり堪能

 

夕方になると、「ドルフィンホール」でカクテルパーティーが開催された。今年初めにコンテナ船からにっぽん丸に転属された小尾達也船長のあいさつもすっかり板につき、客船の船長として風格が出てきた気がして、ファンとしてはうれしい限りだ。

 

そして、お待ちかねのにっぽん丸自慢のディナータイムだ。地元久慈市の山形村短角牛のとろけるようなローストや、金目鯛やカジキ、フカヒレ、オマール海老などを使用したポアソンスープ(「令和」とプリントされた春巻の皮のふた付き!)などを堪能。数々の上質な食材をふんだんに使ったディナーが、船上での一夜をとても華やかなものにしてくれる。

 

食後にはドルフィンホールでのエンターテインメントショー。今回は大ベテラン歌手で俳優のささきいさおさん。私らの世代としてはやはり『宇宙戦艦ヤマト』の主題歌を歌う元祖“アニソン歌手”。若いころ、オンボロ車のカーステレオでテープがヨレヨレになるまで聴きこんだあの歌をじっくりと聴かせていただいた。

 

おいしいディナーと素晴らしい歌でエネルギー満タンとなり、その足はふらり「ネプチューンバー」へ。来年の改装工事で「ホライズンラウンジ」の和室部分に移転してしまうこのバー。故柳原良平氏ら船好きの大先輩の方々がお酒を酌み交わした昭和の隠れ家的カクテルバーで、その雰囲気に酔いしれるひとときを過ごした。

CRUISE GALLERY
にっぽん丸船内の隠れ家的なネプチューンバー

翌朝、目を覚ますと船はまだ外房の沖合だ。いつものワンナイトクルーズならもう東京湾に入っていて、おいしい朝食もそこそこに下船準備に取り掛かるのだが、この日の横浜入港は10時30分。まだ余裕があるのがうれしい。

 

やがて本船はゆっくりと大小の船が行き交う浦賀水道に入っていき、横浜が近づいてきた。今回、横浜への入港もいつもと違った。それは、その夜に行われる花火大会の関係で接岸場所が大さん橋ではなく、対岸の山下ふ頭だということ。見慣れたベイブリッジをくぐると大さん橋を横目に左に舵を切り、山下ふ頭へ向かっていく。

 

そうして、休日の朝ののんびりした雰囲気の山下公園に出迎えられながら、ほぼ定刻に接岸。三陸海岸の旅情と充実した船旅でたっぷりと心を満たしつつ帰路についたのだった。

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PUNIP cruises〈プニップ クルーズ〉
船舶イラストレーター、船旅愛好家。中学時代に体験した伊豆大島への船旅以来、船の魅力にはまり、さまざまな船で各地の港を訪ね歩く。故柳原良平氏に影響を受け船の絵を描き始め、現在は横浜港の広報誌やクルーズ客船の会員誌、船内商品デザインも手掛ける。年1回、横浜での個展も開催。

ペンアイコン取材メモ

久慈/横浜ゆったりワンナイトクルーズ
日程:2019年7月12日(金)~13日(土)
コース:久慈~横浜
クルーズ代金:3万9000円(スタンダードステート)~19万5000円(グランドスイート)
船名:にっぽん丸(商船三井客船)/総トン数:2万2472トン
乗客定員:398人/乗組員数:230人

2019年10月号
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