芸術に、美食に
「飛鳥Ⅱ」で秋を感じる

CRUISE STORY
クルーズストーリー
2019.12.27

さて、ウィーン体験の本当のフィナーレは、この後に待っていた。「本場オーストリア料理を飛鳥スタイルで」というコンセプトの下、西口総料理長が半年前から構想を練ったという渾身のディナーだ。

 

本場のものをそのまま出すと塩辛く味の濃いものが多いため、飛鳥Ⅱの客層を考えて味付けをコントロール。山に囲まれているウィーンの料理は川魚を使うのが定番だが、前菜にはサーモンを合わせるなどのアレンジも加えている。それでいながら、ウィーンならではのパン粉を付けた料理「牛フィレ肉のポワレ・クルート仕立て」や、ハンガリーの姫がウィーンに嫁いだときに広めたスープ「グーラッシュ」などで構成。ソースにもオーストリア産ワインを使用しており、存分にウィーンを楽しめる内容であった。

CRUISE GALLERY
ウィーンの定番料理のひとつ、仔牛のカツレツ「ウィンナーシュニッツェル」を飛鳥Ⅱスタイルで
「本場オーストリア料理を飛鳥スタイルで」というコンセプトのディナー。ウィーンで本場料理を経験したことのある乗客も絶賛
ティータイムに振る舞われた、オーストリアの代表的な菓子「ザッハトルテ」
ディナーでのお薦めワインとして、オーストリア産ワインを用意。料理のソースにも使われていた

 

翌朝、飛鳥Ⅱは東京湾を北上し、出発した場所と同じ横浜港を目指す。この日もよく晴れたので、デッキに出て風景をのんびりと眺めている乗客が多い。みんなの頭の中に、「美しき青きドナウに」の旋律が流れているのではないだろうか。誰もが、前日の優雅なひとときを過ごした余韻に浸っているように見えた。船から横浜の町並みの向こうに冠雪した富士山が見えたときにようやくわれに返ったが、まるでウィーン旅行からそのまま船で日本に帰ってきたかのような錯覚にとらわれた。

CRUISE GALLERY
横浜港に入港する飛鳥Ⅱ。ここで初めて富士山が見え、感動的なクルーズの幕を閉じた
伊豆諸島の新島付近を、東側から眺める
ペンアイコン取材メモ

秋の休日 ウィーンスタイル クルーズ
日程:2019年11月1日(金)〜4日(月・休)
コース:横浜〜四日市〜横浜
クルーズ代金:15万2000円(Kステート)〜76万1000円(Sロイヤルスイート)
船名:飛鳥Ⅱ(郵船クルーズ)/総トン数:5万142トン
乗客定員:872人/乗組員数:約470人

2020年2月号に掲載
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