●冬を忘れ、温かい南国へ
船内で年の瀬を過ごすうちに、飛鳥Ⅱは12月30日、グアムへと到着した。日本から一気に南の島へ。クルーは半袖シャツやワンピース姿で南国気分を演出してくれる。
グアムは日本からほぼ真南に進んだ島で、気候は1年を通して30度前後。乗客は皆、数日前には日本でコートを着ていたとは思えない薄着に着替え、南の島へ繰り出していった。出港が22時と遅いのもありがたく、現地でディナーを楽しんできたという乗客もいた。
続く大晦日はサイパンに寄港。島全体がサンゴ礁に囲まれていて、透き通った海はリゾート感満載だ。マリンスポーツが盛んな地だけに、ダイビングを楽しんだりとアクティブに過ごす乗客が多かったようだ。潜水艦に乗って海中散歩をし、多彩な熱帯魚を見たという方も。
セイルアウェイ・パーティーでは、天水連サイパン支部による阿波おどりの見送りもあり、にぎやかな雰囲気の中での出港となった。
出港が17時と少し早めなのは、この夜に船内で行われるカウントダウン・パーティーを思う存分楽しんでもらうため。飛鳥Ⅱに戻った乗客は、入船亭扇藏氏の干支にちなんだ落語を聞いて笑い納めをしたり、一年の最後を締めくくるディナーを楽んだりしながら、思い思いにパーティーの時を待った。深夜23時半に近づく頃、普段なら静かなアスカプラザに、乗客が続々と集まってくる。
アスカプラザの周囲が乗客でいっぱいになった時、待ちに待った「第26回 NYK紅白歌合戦〜令和元年スペシャル〜」の幕が切って落とされた。これは船のクルーたちによる、手づくりの紅白歌合戦だ。女性クルーたちによる欅坂46の歌で始まり、嵐やラグビー日本代表の成りきりモノマネで大盛り上がりする。大トリでは赤松船長が加山雄三『光進丸』を歌い上げるなど、2019年の大晦日を飾るにふさわしい演出の数々が続いた。
次第に夜も更け、いよいよ2019年から2020年へと変わる時がやってきた。乗客と飛鳥Ⅱのクルー全員でカウントダウンの大合唱! 幕開けの瞬間はクラッカーを盛大に鳴らし、華やかに元日を迎えた。
その後もお祝いムード満点の中、乗客とクルーが列をなし、楽しげにアスカプラザをまわった。すれ違う人同士、新年を祝ってハイタッチをしたり、思い思いに記念撮影をしたり……令和二年の元旦を祝う宴は深夜1時近くまで続いた。