「飛鳥Ⅱ」での門出、
新春の喜びを洋上で

CRUISE STORY
クルーズストーリー
2020.02.27

一夜明けた元旦、前夜のにぎわいで少し遅めに始まるのかと思いきや、6時45分からプールサイドで赤松船長らによる鏡開きが始まった。多くの乗客が早朝にも関わらず、お屠蘇と初日の出を求めてプールデッキを埋め尽くした。

 

晴れ着に着替えたクルーから注がれるお屠蘇や升酒にほろ酔いながら水平線を眺めていると、少し曇り気味だった空から、嘘のように太陽が! 雲が破れ、水平線から美しい初日の出が顔を出してくれたのだ。ドラマチックな一年の幕開けに、皆が高揚した。

 

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多くの乗客が見守る中、船長らによる鏡開きが行われた
初日の出の瞬間。多くの乗客がその光景をカメラに収めた
和服姿のクルーたちが、お屠蘇をふるまう。日本の由緒正しきお正月がここに

鏡開きと初日の出の後はフォーシーズン・ダイニングルームへ向かい、今年最初の食事へ。重箱に詰められた飛鳥Ⅱ特製のおせち料理は目にも美しく、どの料理も絶品。おいしく食べていると、どこからともなくお囃子が聞こえてきた。ダイニングにやってきたのは、十八番座による獅子舞で、さらにお正月ムードが盛り上がった。

飛鳥Ⅱ特製のおせち料理。品数や見た目はもちろん、味も絶品
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飛鳥Ⅱ特製のおせち料理。品数や見た目はもちろん、味も絶品

もちろん元旦からイベントもめじろ押しだ。書き初めをしたり、百人一首をしたり、きらびやかな花嫁衣装のデモンストレーションを目にしたり。そこには海外の洋上とは思えないほど、日本伝統のお正月が凝縮されていた。

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お正月に行われた花嫁衣装のデモンストレーション
船内では書き初めも貼り出され、歩をとめて眺める乗客も

●イベント満載の終日航海日

 

元日から横浜到着までの4日間は終日航海日だ。4日間も終日航海日というと「飽きるのでは?」と思う方もいるかもしれないが、それは間違いだ。とにかくたくさんのイベントが予定されていて、むしろ暇な時間がないほど。運動系の講座もあり、しっかりと体を動かすことができる。オペラコンサートやプロダクションショーといった華やかなステージに魅了されたり、ゲームで頭を使ったりと、気が付くとあっという間に下船日前夜になっていた。

 

最後の夜は昭和歌謡の懐メロで、クルーと乗客が大合唱。女性クルー扮する『銀座カンカン娘』たちが登場したり、男性クルーが白塗りの女性デュオに扮して大爆笑をさらったりと、最後まで乗客を飽きさせることのなく、多彩な演出が続いた。

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十八番座による新春邦楽公演。日舞も取り入れたステージは伝統美に満ちていた
最終日に行われた歌謡ショー。クルーたちの多才さに驚く

●リピーターになる理由

 

実はこのニューイヤークルーズは、飛鳥Ⅱのリピーターが7割を超えているという。確かに大さん橋で乗船した際にも「お帰りなさい、○○さま」という言葉をたくさん耳にした。

 

リピーターの1人は、飛鳥Ⅱに何度も乗船したくなる理由を「家族のように親しく接してくれるクルーにある」と語ってくれた。今回のニューイヤークルーズでは、カウントダウンを筆頭に、各種のイベントでもエンターティメントチームだけではなく、船長をはじめとして各部門のクルーが多く参加して、積極的に乗客を楽しませていた。だからこそ、「あの人は元気かな」とまたクルーに会いたくなるそうだ。

 

最終日には客室に、一生懸命に勉強をしたであろうひらがなで、快適に過ごすことができたかを気遣う手紙と折り鶴が置いてあった。それを見ていたら、いつもニコニコと笑顔で客室を清掃してくれた担当者の顔が浮かび、私自身も「また乗船したいな」と強く思った。

 

南の島に行き、美しい日本の伝統的なお正月を満喫するばかりでなく、家族のような温かさに触れられた11日間のクルーズ。それは飛鳥Ⅱにリピーターが多い理由を、真に理解する日々でもあった。

ペンアイコン取材メモ

ニューイヤー グアム・サイパンクルーズ
日程:2019年12月26日(木)〜2020年1月5日(日)
コース:横浜〜グアム〜サイパン〜横浜
クルーズ代金:55万7000円(Kステート)〜280万4000円(Sロイヤルスイート)
船名:飛鳥Ⅱ(郵船クルーズ)/総トン数:5万142トン
乗客定員:872人/乗組員数:約470人

2020年4月号に掲載
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