密着!
にっぽん丸を奏でるアスール★プラ★プティ★の一日

密着! にっぽん丸を奏でるアスール★プラ★プティ★の一日
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2020.02.27

午後3時を回る頃、リドテラスのプールサイドはスナックを片手にくつろぐ乗客でにぎわう。そんな中、ジョンのピアノソロによるメロディータイムが始まった。クリスマスの定番曲、ワム!の『ラスト・クリスマス』が耳に心地よく流れてくる。テラスには雪の代わりに太陽の光が降り注ぎ、波立つプールの音と相まって、まるで南国のビーチにいるような気分になる。メンバーは故郷フィリピンのクリスマスをなつかしく思い出すこともあるのではないだろうか。

 

「故郷を思うと時にとても悲しくなる。今の生活に満足しているけれどね」とジョンは言う。メンバーの多くがフィリピンに家族や子供を残している。ジョンの息子はギタリストになるべく試行錯誤しているそうだ。中東やヨーロッパで経験を積んだ後、にっぽん丸専属ミュージシャンになったジョンは、父親としての思いをこう語ってくれた。「音楽を生業にすることは、どの時代であれ難しい。それでも息子には好きな道を進んでほしい」。

 

空と海が夕焼けに染まる頃、ドルフィンホールではカクテルパーティーとメインショーが幕を開ける。バンドがメインショーを行うこともあるが、この日はベリンダとケルシーがカクテルパーティーで歌とピアノを披露するというプログラムだ。『ホワイト・クリスマス』に乗せてベリンダの清らかな歌声が響き渡る中、にっぽん丸特製のカクテルがサーブされる。会場はいつのまにか乗客でいっぱいに。大勢の観客の前で演奏するミュージシャンは、物心ついた頃から「音楽こそ天職」と考えて没頭してきた人が多いのだろうか。

 

「それがね、親の希望で子供の頃にピアノを習い始めたけれど、まるで音楽に興味がなくてね」とケルシーは照れくさそう。姉妹ともにシンガーだと言うベリンダは、「歌うことは好きだったけれど、プロになるなんて思ってもいなかった」と肩をすくめる。ケルシーは大学で船舶管理を専攻し、ベリンダは会社勤めを始め、人生から音楽という要素が消えた時期もあった。しかし2人は「何かが足りない」と感じていたという。そんな時、ベリンダは友人から歌手の募集について聞き、オーディションを受けて見事合格する。ケルシーは音楽が大好きな親戚に影響されて、本当にやりたいことは音楽だという結論にたどり着いた。さまざまなめぐり合わせを経てプロミュージシャンになった2人の奏でる音色が、ドルフィンホールに穏やかに流れている。

ディナー中はテーブルの間を回りながら演奏して、場を盛り上げてくれた
CRUISE GALLERY
ディナー中はテーブルの間を回りながら演奏して、場を盛り上げてくれた

●乗客とにっぽん丸への思い

 

時を同じくしてメイン・ダイニング「瑞穂」では、優雅なディナータイムが進行していた。そこへサンタクロースの扮装をしたメンバー6人が登場。ギターとフルートで『ジングルベル』を演奏しながら、時におどけた顔を見せて乗客の笑いを誘う。乗客はしばしナイフとフォークを置き、温かな表情で彼らを見つめている。

 

「顔なじみのお客さんも多いよ」とメンバーは言う。乗客からねぎらいの言葉をかけられたり、感謝の手紙をもらったりするのが励みになるそうだ。ガリーは「にっぽん丸のスタッフもぼくらの音楽に感謝してくれる」とにっこり。だから皆、この先もにっぽん丸で演奏したいと願っている。

 

にっぽん丸の1日も終盤に差し掛かってきた午後9時、ドルフィンホールではダンスタイムが始まった。バンドの演奏とダンススタッフのリードで、乗客がソーシャルダンスやディスコダンスを楽しむ時間だ。マンボやチャチャの軽やかなステップを踏んだ後は、『ザ・ツイスト』や『YMCA』などのディスコナンバーが炸裂する。まるでミュージカルが完成するように、乗客、バンドメンバー、ダンススタッフの間に一体感が生まれる様子が素晴らしい。興奮冷めやらぬ中、乗客の見送りをすませたバンドメンバー全員の顔に、1日のプログラムを無事終了させた充足感があふれていた。

「作曲もしたいよね」とメンバー。彼らのオリジナルソングをにっぽん丸で聞ける日が来るかもしれない
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「作曲もしたいよね」とメンバー。彼らのオリジナルソングをにっぽん丸で聞ける日が来るかもしれない
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