●生まれ変わったeカフェ&ライブラリー
一方、内装を一新したのが「eカフェ&ライブラリー」。こちらも今回の改装の目玉の一つだ。フローリングに張り替えた床のおかげか印象が一変し、サービス内容もリニューアルされた。
提供するのは本格ドリップコーヒー（有料）だ。そのために、プロのハンドドリップを再現する高性能マシーンを導入した。1杯分から、豆から挽く淹れたてのコーヒーが楽しめるようになる。コーヒーの豊かな香りに引かれて立ち寄り、コーヒー片手にライブラリーの本を開くーーそんな船上ライフを思わず想像してしまう。そのほか、注文を受けてから作るフルーツジュースを販売する。
力を入れるのはドリンクだけではない。ここでのドリンク提供時に使用されるのは、選りすぐりの陶器だ。コーヒーに使用される小代焼は、中山勝利総料理長の地元、熊本県で約400年受け継がれる伝統ある陶器。フルーツジュースには、バリのジェンガラ陶器を使用する。飲み物のおいしさを一層引き立てる器がセレクトされた。これらは、船内ショップで購入できるようにもなっている。
eカフェでは今後、バリスタをゲストに迎えて行うイベントも企画中だそうだ。そして耳寄りな新サービスがもう一つ。eカフェのドリンクがテイクアウトできるようになったのだ。この生まれ変わった空間で味わうのももちろん良いが、船内の好きな場所でコーヒーとともに一息つけるようになるのはかなりうれしいアップデートではないか。
改装ではドルフィンホールを除き全船でWi-Fiが利用できるようになった（有料）。新たな船上生活を見据え、eカフェのテーブルの周りにはコンセントが潤沢に用意されている。乗客がどう過ごす空間になるのか期待がふくらむ。
コンセプトとデザイン性
足を踏み入れた瞬間、「おお！」と思わず声が出た。新設されたコンセプトルームと、オーシャンビュースイートを見学した時のことだ。改装で、この2種の新コンセプトの客室が登場した。にっぽん丸はそれぞれのニーズに合わせた多様な客室タイプを用意しているが、既存の客室とはデザイン面で一味違うと感じた。
コンセプトルームは最大6人での利用が可能で、にっぽん丸で唯一畳のリビングスペースを持つ。4階船首、かつてのビスタスポットに新設。やはり日本人、見た瞬間ごろんと寝転びたくなったし、ここでくつろぐイメージがすぐにできた。畳スペースには靴を脱いで上がるので、小さな子どもと一緒の家族には特に喜ばれそうだ。
畳を有するだけあり、全体は和テイスト、かつ落ち着いた色彩にまとめられている。天井照明には組子文様があしらわれていたり、ベッドのヘッドボードや窓枠には和柄を使用していたりと、細部まで和の演出がされていた。船首一面を有し、その左右に延びる窓のおかげで開放感もたっぷり。客室前はデッキだが、外からは内部が見えないようフィルムが貼られているから心配はいらない。
一方、オーシャンビュースイートは5階船首、ネプチューンバーがあった場所を2分割して、2室新設された。船首という好位置を生かして、ベッドからでも前方の景色を眺められるようベッドの高さがこだわり抜かれている。
この客室で目を引くのは曲線美が光るデザイン性の高さ。オーシャンビューの名にふさわしいブルーを基調にした室内には、波型のソファに、楕円形のテーブル、収納ラックも円柱形、球状の飾りが連なったカーテン留めなど、見ていて楽しくなるほど。
同じく船首に位置するコンセプトルームともに、窓には電動ブラインドが備え付けられており、基本的には部屋のスイッチで上げ下げ自由。ただし7階船首にはブリッジがあるので、夜間など明かりが漏れると操船に影響のある時間帯は、自動的にブラインドが下がるようコントロールされるという。
