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HOME > 特集INDEX > 沖縄クルーズカンファレンス2020レポート : 沖縄県が目指す、安全・安心なクルーズ船の受入再開
沖縄クルーズカンファレンス2021レポート
シーサー

安全・安心なクルーズ船の受入再開、そのポイントは

2021年3月11日、沖縄県に久々にクルーズ業界関係者が集い、カンファレンスが開幕した。タイトルは「沖縄県が目指す、安全・安心なクルーズ船の受入再開」。新型コロナウイルスの感染拡大でクルーズ業界は大きな影響があったが、現在日本船など一部の客船は運航を再開しており、今後も多数の船会社が日本各地でのクルーズを予定している。「ニューノーマル」な時代の受入はどうあるべきか――関係者一同がまさに模索している最中であり、そんな中でのカンファレンスは、沖縄県内の業界関係者のみならず日本全国の自治体や旅行業関係者の注目を集めた。


(クルーズカンファレンス開幕時の様子)

カンファレンスの冒頭、主賓挨拶として渡久地一浩沖縄県文化観光スポーツ部部長の言葉を代読した下地誠沖縄県文化観光スポーツ部観光政策統括監は、沖縄県のクルーズ船の受入に関して、「国内外で積極的にセールスプロモーションをし、受入体制の整備を行った結果、2019年には581回という過去最高の寄港数を記録。那覇港、石垣港、平良港がトップ10に入った」とその成長を語った。それがコロナの影響により、県内港湾でクルーズ船を見かけることがなくなった。「ただし沖縄の魅力が失われたわけではない」と渡久地部長は力強く語る。むしろ自粛生活において、多くの人が沖縄の魅力を思い出したのではないかと述べた。

続く来賓あいさつでは内閣府沖縄総合事務局の中島洋開発建設部長が登壇。「クルーズ船受入再開にはクルーズに対する信頼、安心を取り戻す必要がある」と述べた。そのためには以下の3つのポイントがあるとした。

①関係者が総力戦で感染症対策を講じること
②寄港が中止しているいま、受入体制を再構築すること
③寄港再開後の需要拡大に向けて、受入体制の整備を進めること

①に関しては、沖縄は島嶼地域ならではの医療体制の問題もあるとし、多面的な感染症対策が必要とした。現在、主要港湾ごとに水際防災対策協議会を設置したという。受入の合意形成に向けては、県が中心になり、沖縄県クルーズ船受入協議会を設置、協議を重ねていくとした。

②に関しては、これからの地域活性化のためには何を売り込むのか、地域で議論をして誘致に向けていく必要性を述べた。それには県内の港湾が連携して「クルーズポート・コンソーシアム」を開催、県内の複数港湾に寄港する際の予約しやすい工夫への取り組みを始めたことも明らかにした。

③に関しては沖縄のクルーズ需要はいずれ回復、さらに増加すると見込んでいるとした。だからこそ完成までにお金と時間のかかるインフラ整備について、手をゆるめることなく進めていきたいと抱負を語った。

沖縄におけるクルーズ客船の受入状況

あいさつに続いては、沖縄県文化観光スポーツ部の下地誠観光政策統括監が、沖縄におけるクルーズ客船の受入状況について説明した。沖縄県における客船の寄港回数の増加は、図1、図2を見ると象徴的だ。図2は2019年の全国の港湾における寄港数のベスト10だが、沖縄県では那覇港が1位、石垣港、平良港がトップ10に入るまで成長、日本一の受入県となった。


同氏はこの背景に平成29年に策定した「東洋のカリブ構想」があると紹介。これは経済振興を目的とした中長期的な計画で、大型船のバースの整備をはじめ、寄港地としての沖縄の認知度向上など、経済波及効果の高いクルーズ誘致を進めることを柱としたものだ。

同氏は続いて、クルーズ船受入再開に向けた取り組みとして、国土交通省「クルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間とりまとめ」と沖縄県クルーズ船受入協議会について説明。国交省の中間とりまとめの中には、具体的措置について「都道府県等の衛生管理局を含む地域の関係機関で構成される協議会等における合意を得た上でクルーズ船を受け入れる」と記してある。これを受けて沖縄県では令和3年1月18日、県内港湾に寄港する国内クルーズ船の受入に関する合意形成を目的に、「沖縄県クルーズ船受入協議会」を設置、受入再開に向けた検討を行っていること明らかにした。

この沖縄県クルーズ船受入協議会は以下の4つの関係機関で成り立っている。

●港湾関係(港湾管理者等)
●医療関係(保健所、県立病院等)
●搬送関係(消防、海上保安本部棟)
●観光関係(自治体観光関係課等)

取り組み事項としては、以下の5点などを挙げた。

①クルーズ船の寄港受入に際しての事前調整
②感染者が確認されたクルーズ船の受入体制の構築
③想定を超える事態への備え
④事案発生に備えた訓練等
⑤安全・安心な寄港地観光の推進

今年1月18日には全体協議会を実施、2月18日には八重山地域での協議も行われた。クルーズ船の受入再開に向けて着実に歩を進めている。

続いて沖縄のクルーズエリアとしての強みとして、亜熱帯の豊かな自然、歴史遺産、伝統文化などを紹介。課題としては寄港地のかたよりがあったり、一部量販店での買い物が寄港地観光のメインになるケースなど、地域への経済波及効果が限定的な側面もあったことを挙げた。今後は沖縄の魅力を各国の市場のニーズに合わせて紹介し、モデルコースを提案、寄港地の分散化や滞在中の消費活動を促進させたいとした。


(沖縄の豊かな食や文化をモデルコースで提案していく)

また沖縄の島嶼性をいかしたプロモーションについても言及。沖縄には47の有人離島があり、それぞれ異なる魅力を持っているとした。そうした島々の多くが小型船でしか入港できないため、少人数でこだわりのエリアを訪れるエクスペディション船を魅了できる。離島を複数めぐるアイランドホッピングに関しても誘致を進めていきたいと抱負を語った。


(アイランドホッピングの寄港地としても注目される慶良間諸島)

続いて大阪大学大学院国際公共政策研究科の赤井伸郎教授が「世界・日本のクルーズ現状」について基調講演を行った。これまでの各国や日本におけるクルーズ業界の状況をレポート、ほぼすべてのクルーズ船が運航停止を余儀なくされたこと、また欧州や台湾、シンガポール、そして日本で運航再開がなされていることなど時間軸に沿って解説した。

欧州で運航再開したコスタクルーズもMSCクルーズも感染症対策のプロトコルを作って運航しており、船内でのクラスターは起きていないことも説明した。乗客・乗務員に対するPCR検査を実施、「クルーズ船はマスクの着用やこまめな消毒など徹底した感染対策を行っており、街で外食をするよりも安全だと感じる」と評した。

クルーズの復活に向けての段取りとしては、第一段階としてPCR検査やガイドラインが徹底できる小型ラグジュアリー船から再開するとし、これが現在運航を再開している日本船も該当するとした。国際クルーズ復活に向けては、PCR検査に加えワクチン接種を条件に水際対策、すなわち隔離政策が緩和してからになるとした。またカボタージュ対応については、まずテクニカルコール(※寄港はするが、乗客は下船できない)から始めるのではとの見解を示した。さらに長期的な復活に向けて日本各地でインフラ整備が行われていることも紹介。佐世保港や東京港などの例を挙げた。

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