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クルーズdeツナグ・プロジェクト、第2弾は北陸復興応援

2024.04.17
業界

官民によるクルーズ振興の取り組み「クルーズdeツナグ・プロジェクト」の第2弾は「北陸復興応援」として、能登半島地震の被災地復興を行う。主体となる全国クルーズ活性化会議や協力団体、国土交通省が15日、神戸港に停泊中のホーランド・アメリカ・ラインの客船「ウエステルダム」内で記者会見して発表した。

 

同会議は、全国146の港湾管理者・自治体で構成する組織で、全国レベルでクルーズ振興や誘致に係る情報共有や意見交換など行っている。同会議が主体となって今年2月から開始したのが「クルーズdeツナグ・プロジェクト」。日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、日本外航客船協会(JOPA)、日本国際クルーズ協議会(JICC)、国土交通省、観光庁が協力し、クルーズ振興による地域活性化や日本でのクルーズ人口の拡大、クルーズ文化醸成を目指す、官民連携の初の取り組み。「クルーズにより旅客と寄港地の人々、港と港、日本と世界をつなぐ」という思いを込めている。

 

第1弾として「全国クルーズ・リレーシンポジウム」と題して、全国各地で17の港湾管理者などが延べ20回イベントを開催している。第2弾として能登半島地震で被災、影響を受けた地域を応援することになった。

 

記者会見で活性化会議の久元喜造会長(神戸市長)は、第1弾の取り組みについて「リレーシンポジウムを各地でスタートしている。神戸でも『ウエステルダム』の40人が船内見学する。8月には神戸ポートターミナルで客船フェスタを予定している」と説明。第2弾については「北陸にエールを送る取り組みだ。全国55の港湾管理者がクルーズ・ターミナルや観光案内所で北陸4県の動画を放映し、募金も行っている」と述べた。また、大阪大学の赤井伸郎教授による学生のスマート・クルーズ・アカデミーで研修クルーズを実施することも紹介した。

 

協力団体としてJOPAの向井恒道副会長(商船三井クルーズ社長)は、ツナグ・プロジェクトに「期待している」と答えた。北陸復興応援では「客船寄港により地域社会に活気をもたらすことを最優先にと考えている」。郵船クルーズの「飛鳥Ⅱ」、商船三井クルーズの「にっぽん丸」が金沢港、七尾港に寄港することを紹介。「飛鳥Ⅱ」では輪島塗など工芸品を販売して売上を寄付し、金沢発着クルーズでは石川・富山・新潟の食材を用いたコース料理を提供する。「にっぽん丸」は船内ショップ「ブイ」で能登に関する商品を販売し、新コーナー「Pier能登」もオープン予定。「地場の産品を積極的に紹介することで北陸復興応援に貢献したい」と語った。

 

JICCの堀川悟会長(カーニバル・ジャパン社長)は、「改めてみなさんに支えられて運航することができる。支援に感謝する」と述べた後、外国客船の動向について説明。同社の予約状況が好調で、「26年も日本配船が決まり、夏頃に発表予定だ」とした。他船社の日本配船も決まっていることを挙げて、「日本はデストネーションで魅力がある」とした。北陸復興応援で「『ダイヤモンド・プリンセス』は船体に横断幕を設置して、乗員乗客から応援メッセージを記入してもらい、金沢港に贈呈する」とした。ノルウェージャン・クルーズ・ライン(NCL)では船内で募金活動を行い、ポナンは金沢寄港時に石川県産の物産市を開催して応援。ポナン財団は北陸で活動するNPOに直接支援する予定だという。「北陸の港は観光拠点として魅力あふれるところが多く、各船社は受け入れていただける限り予定どおり寄港する。復興にできる限り協力していく」と話した。

 

JATAの髙橋広行会長(JTB会長)はコスタクルーズとの共同企画を紹介。6月23日、輪島市の中学3校の3年生全員を停泊する「コスタ・セレーナ」に乗船してもらい、「船内見学や食事、アトラクションを楽しんでいただく。ひとときのやすらぎの時間を提供し、よい思い出づくりの機会となってほしい」とした。9月に東京で開催するツーリズムEXPOジャパンで、会場内に北陸復興応援コーナーを設置したい考えを示した。

 

ANTAの近藤幸二副会長(全観トラベルネットワーク社長)は、「観光業会も地元業者が被災し、旅行キャンセルも相次いで大きな影響が生じた。協会も風評被害防止のための正確な観光関連情報を提供している」など述べた。北陸キャンペーンで「観光復興支援できるよう全力を尽くしていく」とした。

 

国交省の稲田雅裕港湾局長は「クルーズ船の寄港は全国津々浦々の経済活性化やにぎわいの創出に大きく貢献する。ツナグ・プロジェクトはクルーズ回復に向けた効果の大きい取り組みだと認識している。関係者に厚く御礼申し上げ、国交省もサポートしていきたい」と語った。能登半島地震については「被災地の早期復興に全力で取り組んでいく。プロジェクトの想いを込めた全国からのエールが北陸に届くことが復興に向けて大きな力となる」とした。

 

次に久元会長から「ウエステルダム」のトレンビン船長に、北陸への応援エールを記したメッセージと記念品が贈呈された。同船は日本一周クルーズを行っており、21日に金沢寄港予定。到着後、船長から金沢港に応援エールを渡してもらう。あわせてラットガードも贈られた。

 

写真は左から、神戸港に停泊するウエステルダム、久元会長(左)からトレンビン船長に応援エール贈呈、出席者による記念撮影

 

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