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HX、CEO来日 探検クルーズの魅力を訴求
エクスペディションクルーズブランド「HX」のCEO、ゲブハルト・ライナー氏が来日し、PSAのインターナショナル・クルーズ・マーケティング株式会社主催による旅行会社およびメディア向け説明会が東京都内で開催された。説明会では同社の最新動向や今後の展望について解説があった。
HXは1896年に北極圏スヴァールバル諸島への商業探検航海を実施して以来、約130年にわたり探検旅行を手掛けてきたエクスペディションクルーズのパイオニア。昨年、ブランド名を「HX」へ刷新し、独立したブランドとして再スタートを切った。現在は南極、北極、グリーンランド、アラスカ、アイスランド、ノルウェー、ガラパゴス諸島、アフリカなど世界各地で探検クルーズを展開している。
説明会では、同社が掲げる「科学」「教育」「持続可能性」の3つの柱について紹介された。船内にはサイエンスセンターを設置し、顕微鏡や研究機材を用いた学習プログラムを実施。乗客は海水サンプルの採取や野生生物観察などの市民科学(Citizen Science)活動に参加できるほか、ゾディアックボートによる探検、ハイキング、カヤック、キャンプ体験など、本格的なエクスペディションプログラムを楽しむことができる。
また、現在運航する5隻のうち、「ロアール・アムンセン」と「フリチョフ・ナンセン」の2隻はハイブリッド推進システムを採用。環境負荷の低減を図りながら南極や北極で運航している。
ライナー氏は「私たちは単なるクルーズ会社ではありません。探検の伝統と専門知識を基盤に、旅行を通じて世界の見方を変える体験を提供したいと考えています」と語った。
近年は科学活動への取り組みも強化している。現在、研究機関との連携を拡大しており、「2030年までに年間5000泊分のキャビンを科学者や研究者に提供することを目標にしています。世界各国で研究予算が減少するなか、私たちの船を研究プラットフォームとして活用してもらい、気候変動や海洋環境に関する理解を深めることに貢献したい」と説明した。
同社は昨シーズン、南極で34航海を実施。乗客による市民科学活動や環境保全プログラムへの参加も増加し、過去最高のシーズンになったという。
旅行会社向けの商品説明では、南極、スヴァールバル(スピッツベルゲン)、グリーンランドを中心とした主要商品が紹介された。なかでも注目されるのが、2026年から新たに設定される南極15泊16日の新コースだ。従来の南極半島クルーズよりもさらに奥深く、ウェッデル海方面まで足を延ばす航路で、より本格的な探検体験を求める旅行者を対象としている。また、南極圏到達を目指す17泊コースや、フォークランド諸島やサウスジョージア島を組み合わせた長期航路も用意されている。
ライナー氏は、日本市場について「非常に重要で成長の可能性が高い市場」と位置付けている。
「日本ではエクスペディションクルーズという旅行スタイルはまだ発展途上ですが、日本人旅行者は自然や文化への敬意が深く、学ぶことへの関心も高い。その価値観はHXの探検旅行と非常によく合うと思います」
現在はインターナショナル・クルーズ・マーケティング株式会社をはじめとする販売パートナーとの連携を強化しているほか、日本語を含むAI翻訳ツールの導入も進めている。現時点で日本支社開設の予定はないものの、市場の成長に応じて将来的な可能性を検討していくという。
また、近年増加する大型探検船についても言及した。
「大型船はドレーク海峡横断時の安定性や船内の快適性という大きなメリットがあります。一方で、私たちは南極での上陸やゾディアッククルーズなど、本来のエクスペディション体験を損なうことなく提供しています」
さらに、「探検クルーズを選ぶ際に重要なのは船内設備だけではありません。極地という特別な環境で長年培ってきた運航経験や探検チームの知識こそが重要です」と、同社の強みを強調した。
HXは2026年7月8日に、1896年のスヴァールバルへの初の商業探検航海から130周年を迎える。記念イヤーには特別メニューや限定デザインのOcean Bottle、記念カクテルなども提供される予定だ。
最後にライナー氏は日本の旅行者に向けて、「私たちは単に目的地へお連れするのではなく、その土地や自然、地域社会とのつながりを感じてもらう旅を提供しています。南極や北極、グリーンランドは人生観を変えるほどの体験を与えてくれる場所です。ぜひ多くの日本の皆さまに、その魅力を体験していただきたい」と呼びかけた。
写真は左から、HXのCEO、ゲブハルト・ライナー氏、船隊について説明するライナー氏、ビバークバッグ(寝袋を覆う防水・防風仕様の簡易シェルター)を使用して南極で一夜を過ごすキャンプ体験(有料)。



