【後編】洋上に出現したジャマイカ!
MSCベリッシマが音楽の楽園になった6日間
FAREAST REGGAE CRUSE2025レポート

レゲエをテーマにしたミュージッククルーズ「FAR EAST REGGAE CRUSE2025」が行われた。
6日間にわたって音楽とクルーズをたっぷり楽しむ2日間、そのハイライトをレポート。
2日目の晩に行われたサウンド同士のバトル形式のショーケースライブ「WORLD BUSH JAPAN」の行方は……。
※FAREAST REGGAE CRUSE2025レポート【前編】はこちら
TEAM JAPANの大将、Mighty Crownは圧倒的だった。まさに想像のはるか上を行くパフォーマンスだ。一夜限りのレア感、人気、知名度、主催者だからこそのアドバンテージ……そのどれを差し引いても余りある、圧倒的テンション、ステージング、選曲の妙。ステージを降り客席まで分け入り「俺が一番のエンターテイナーだ!」と叫ぶSAMI-Tの姿に、その通りと言わんばかりに大歓声があがる。
本場のバイブスも、一年以上にブランクももろともせず世界王者の実力を見せつけ、TEAM JAPANの勝利で二日目のステージは幕を閉じた。
開始時間が遅れたこともあり、ステージが終わったのは0時を回っていた。食事のタイミングを逃していたので、深夜のビュッフェに行ってみると、同じく遊びをひと段落した人たちで人気メニューは行列が出来るほどにぎわっていた。これが街中なら、閉店している飲食店も多く、さらにダイエット中なら食べるのを控える時間帯なのに。これもきっとレゲエクルーズならではの光景だろう。
席に着き、骨付きビーフにかぶり付いていると、目の前にテーブルにMighty Crownの二人を含むTEAM JAPANの面々が座っているではないか。何を話しているかは聞こえなかったが、真剣な面持ちで世界王者の先輩から若きアーティスト達へアドバイスしているように見えて、一人勝手に胸を熱くした(本当はただの馬鹿話だったかもしれないが……)。この距離でそんな光景が見られるのも、アーティストとの距離感が近いクルーズならでは。


今回のクルーズの寄港地は韓国・済州島と鹿児島。3日目は済州島に降り立った。シャトルバスの到着先はオルレ市場。特産品のみかんをモチーフにしたお土産物や、海産物がならぶローカルな市場。ブラブラして、サムギョプサルを楽しんで船に戻ることに。途中、日本語を話す地元の人たちと触れ合い、束の間のアットホームな旅情を味わう。


3日目は、出演者含めて白を纏うドレスコードのオールホワイトナイト。筆者は普段はドレスコードなど億劫なタイプだが、クルーズの一体感を味わい、華やかさの演出ならと気合を入れて上下白に着替える。
ステージは今日も豪華。MONGOL800のキヨサク、三木道三、そしてCHOZEN LEEは自らのバンドを率いて気合の入ったステージを披露する。




トリを務めるのはジャマイカからロメイン・ヴァーゴ。ビルボードチャートで1位を獲得した経験もある若手実力派は、セクシーな美メロボーカルやゴスペルのようなコーラスワークを巧みにあやつり、今クルーズで一番洗練されたショーだったように思う。
途中、ロメインの歌声にも熱がこもり始めたころ、一粒、二粒…大き目な雨が降り出した。……と思っているうちに、風と相まって一瞬にして全身びっしょりに。そんな状況に慌てて屋根の下に戻る人もいたが、隙をついてステージ前に躍り出る強者のほうが多い。ライブの高揚感と、濡れてもキャビンに戻って着替えればいいというクルーズならではの利便性があってのことかもしれない。
クライマックス近く、しっとりとしたバラード調の曲でロメインが「スマホのライトを点けて」と語りかける。ステージの照明は落とされ、たくさんの小さな光がフロアで揺れる。白一色の場内で揺れる光、テラスから見下ろすその光景は、どこか荘厳なムードすら漂い、スペシャルな夜になったことを印象付けた。


この日のDJイベントはスカイラウンジの「VINYL JUNKIE」に参戦。PCによるDJが主流の昨今、アナログレコードオンリーのパーティーでMighty CrownのCOJIE、MURO、DJ KENTA、DJ MAGARAのこだわりのプレイを堪能する。途中、FIREBALLからSTICKOがMCとして参戦。これも普段では味わえないクルーズならではの豪華な共演だ。


一方のガレリアは「DANCEHALL REGGAE GOLD2000’S」と名付けられたダンスホールナイト。SAMI-Tも登場するとあって朝まで大盛り上がりだったと後から聞き、行かなかったことを後悔する。行きたいパーティーが被ってしまう問題。うれしい悩みだ。




4日目は鹿児島に寄港。港から見える桜島へ渡る選択肢もあったが、繁華街に出てお土産やら特産品を物色することにする。道すがらのお店に「TAX FREE」の看板が多く、ドラッグストアなどは観光客だけでなく、港に停泊する客船のクルー達のインバウンド需要も多いとのこと。なるほど、港がある街はクルーズによる二次的な経済効果もあるのかと知る。


旅の終わりを意識し始める4日目、ライブ中テラスに上がると離れていく鹿児島の夜景を眺める人がちらほら。「センチメンタルになりますよね」「さみしい」「終わってほしくない」と会話を交わす。
今夜もバックバンドはHOME GROWNの面々。MCのSAMI-Tによる「みんな泣いちゃうよ? 泣いていいんだよ!」という呼び込みで、歌姫PUSHIMが登場。デビュー25周年、衰えるどころか色気増すベテランの、安定感のあるステージ酔いしれる。皆が大好きなラブソング「I Wanna Know You」で確かに涙が込み上げた。








