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にっぽん丸」2026年5月に引退、35年の歴史に幕
商船三井クルーズは5日、同社が運航するクルーズ船「にっぽん丸」(2万2472トン)が2026年5月10日の横浜帰港をもって引退することを発表した。
にっぽん丸は1990年に就航して以来、35年間にわたり日本のクルーズ文化を牽引してきた。総航行距離は約533万キロメートル、地球約133周分に相当する。2000本以上のクルーズを実施し、国内外400以上の港に寄港、60万人以上の乗客を迎え入れた。
コンパクトな船体を活かし、離島や小規模港にも積極的に寄港。船内では各地の特産品を用いた料理や地域との共催イベントを通じて、土地に根ざした“にっぽん丸らしさ”を追求してきた。こうした取り組みが、地域住民との深い絆を築き上げた。
その航跡には数々の名企画も名を連ねる。2010年と2020年に行われたリニューアルのほか、「世界一周クルーズ」は通算9回を数え、「ハワイ・カリブ・アラスカ」や「モーリシャス・インド洋クルーズ」など長期クルーズも人気を博した。女性向けの「Oasisにっぽん丸」や「オペラクルーズ」、「飛んでクルーズ北海道」など、テーマ性の高いクルーズも展開し、幅広い客層に支持された。
政府が主催する国際青年交流事業「東南アジア青年の船」や「世界青年の船」にも長年使用され、国際的な舞台でも活躍した。
同社では、にっぽん丸の伝統とサービス精神を2024年12月に運航開始した新たな船「MITSUI OCEAN FUJI(三井オーシャンフジ)」や、2026年に就航予定の新たな船へと継承していくとしている。2026年に就航予定の新たな船は「シーボーン・ソジャーン」として運航されてきた船だが、日本籍船になると発表されており、にっぽん丸がこれまで実施してきたクルーズを継承する可能性がある。引退を前に、2026年2月以降のクルーズには特別イベントや記念ディナーも予定されている。最後の航海に向けた“にっぽん丸らしさ”が注目される。
