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マイヤー、完全電動の8万トン級コンセプト・モデル発表

2026.04.13
業界

マイヤー・ベルフト・グループは9日、8万トン級で世界初となる100%バッテリー駆動の完全電動クルーズ客船のコンセプトを発表した。「ビジョン・プロジェクト」として、13日〜16日にマイアミで開催される展示会「シートレード・クルーズ・グローバル」で披露する。

 

コンセプト開発グループのティム・クルーグ氏は「イノベーションによってCO?排出をどのように削減し、脱炭素化に貢献できるかを検討してきた。50年先の話ではなく、より早い段階で実現することを目指している。このプロジェクトにより、温室効果ガス排出量を最大95%削減することが可能になる」と述べている。

 

コンセプト船は8万2000トン、全長275メートル、乗客定員1856人を想定。バッテリー・システムはノルウェーのコーヴァス・エナジーが提供する。マイヤー・ベルフトの最高営業責任者(CSO)のトーマス・ヴァイゲント氏は「コーヴァスは安全で信頼性の高いバッテリー・システムのパイオニアで、世界のハイブリッド船および完全電動船の半数以上に製品を供給している。技術はすでに確立されており、今年中に受注できれば2031年の引き渡しが可能」と説明している。

 

コーヴァスのフレドリック・ウィッテ最高経営責任者(CEO)は、「『ビジョン』で示した両社の技術力の融合は、バッテリー技術の自然な進化であり、クルーズ業界におけるマイルストーンだ」としている。

 

マイヤーによると、このバッテリー・システムにより、バルセロナからチビタベッキアまでの航路など、欧州の一般的なクルーズ・ルートの大部分を航行できる。2030年までにヨーロッパ全土で約100の港が必要な充電インフラを整備する見通しで、顧客の要望に応じて大西洋横断なども可能にする小型発電機を組み合わせたハイブリッド仕様にも対応できるという。

 

ビジョンはクルーズ客船の設計・デザインにも大きな変革をもたらす。船内を下部から上部まで貫く排ガス処理用シャフトや、サンデッキの一部を占めるファンネル(煙突)が不要となるため、遮るもののない眺望を確保した新しいサンデッキ・デザインが実現する。

 

また、全天候型客船として設計し、全面ガラス張りのエリアを備える。アクアパークなどの施設は船尾の屋内エリアに配置するため、天候に左右されず利用できるという。さらに、バッテリー・システムの採用により主機関が不要となるため、騒音や振動が大幅に低減し、船内の快適性が向上するとしている。

 

写真:コンセプト・モデル「ビジョン」 提供:マイヤー・ベルフト・グループ

 

マイヤー、完全電動の8万トン級コンセプト・モデル発表
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