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日本船と港湾の感染症対策レポート、オンライン会議第6回

2020.12.23

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたクルーズ産業について意見交換するため、スマートクルーズアカデミー(主宰=大阪大学・赤井伸郎教授)は12月18日、第6回目となるオンライン会議「クルーズ振興のための情報共有サロン型ONLINEコンファレンス」を開催した。今回は「祝:クルーズ再開:クルーズ船の感染対策:トライアルクルーズ乗船記」と題し、「ぱしふぃっくびいなす」に乗船した関係者の報告と、日本船を受け入れた港湾の受け入れ体制についての報告があった。

「ぱしふぃっく びいなす」に乗船した富山県の担当者からは、11月28日~29日のトライアルクルーズの報告があった。乗船前のPCR検査に加え、乗船までの動線についても述べ、通常の乗船口の手前に荷物運搬用の扉もあり、もし有症者が発生した場合にはこちらの通用口を利用するなど動線の確保ができていたと報告した。食事については夕食は指定席、夜食や朝食は指定はなく、丸テーブルなら3人まで他室者と同席できるが、着席時にはパーテーションが置かれると説明した。

福井県の担当者は、ぱしふぃっく びいなすの見学会で出た質疑応答を中心に報告。船内で有症者が出たときに行うPCR検査についての質問には、船側からスマートアンプ法を採用していると回答があったとし、1時間に24検体の検査が可能とした。機器が壊れた場合に備え、抗原検査キットも用意しているとの回答もあったという。加えて陰性の濃厚接触者が出た場合の帰宅方法についての質問には、事前に交通手段を確保しておくことはできないが、JOPAを通じて情報収集を行っていること、港側でも協力してもらえる地元タクシー会社等の情報を事前に準備いただけるとありがたいと回答があったと述べた。

続いてぱしふぃっく びいなすを運航する日本クルーズ客船から米田憲二専務取締役が登壇、船内の感染症対策についての取り組みを説明した。船内の施設に入る際は必ず乗船カードをかざして入るシステムになっており、乗客の行動のログがとれるようになっていることを明かした。船内の換気システムについてはマルチ空調システムを採用しており、公室と客室は独立した空調システムであり、客室間の空気が混ざることはないと説明した。あわせて船内では感染者発生の場合に備えて、隔離用として30室を確保しているとした。各港湾との連携については、船内の感染症対策を理解してもらいつつ、各港の対応事情を知り、相互理解を深めることが重要だとした。

続いて客船を受け入れる港湾関係者が登壇。「飛鳥Ⅱ」を受け入れた高知港では7月から保健所などと協議し、客船受入対応マニュアル作成を開始したと明かした。9月には地元商店街や観光施設への説明、11月には関係者の事前訓練や緊急時の連絡網作製、記者発表なども実施した。受け入れに当たっては、これまで実施していた地元品のふるまいや試食、歓迎セレモニーなどを中止した。観光パンフレットの配布も中止し、QRコードで対応するようにした。出港時のよさこいの演舞に関しては、船上から演舞を見る乗客も密にならないように配慮し、演者の間隔をあけて広いスペースで実施した。一方で新たにGoToトラベルキャンペーンのクーポン取扱店を知らせるなどした。

重要だった点としては、取材陣に対して県からは客船ならびにターミナルでの感染症対策についてしっかり説明したことだったと述べた。受け入れ当日は地元メディアほぼ全社が取材に来たが、好意的な報道が多かったとした。気づいた点としては地元および全国の感染状況とタイミングによって客船受け入れに関する県民の反応は変わってくること、また港湾施設管理条例など関係法令の整備、保険部局、危機管理部局との綿密な連携も必要だと述べた。

続いて宮崎県日南市が登壇、受け入れに当たっては県や市の担当部局への説明や調整を行ったこと、市議会、地元医師会、市内各自治会長などへの説明を行うなど、綿密な準備をしたと語った。受け入れ時には一般の見学者に対しては検温などを行うとともに、連絡先を記入してもらうなどした。物産展に関しては、1テント1店舗と制限し、間隔を空けて設置。通常時は事務局用のテントとしていたものを、四方幕を備えて隔離用のテントとして設置したことも明らかにした。出航時には地元小学生による演舞や花火の打ち上げ、一般客による見送りを実施した。こちらも好意的な報道が多かったという。

続いて和歌山県新宮市が登壇。日南市と同様、見学者には検温などを実施し、乗客と動線が交わらないように配慮したと語った。また感染者が発生した際の緊急車両の動線などもあらかじめ確保していたと明かした。雅楽や太鼓の演奏などの歓送迎イベントは距離を空けて実施した。続く香川県小豆島の担当者は、今回は関係者のみで歓迎したと述べた。港では観光パンフレットを配布したが、その際にパネルを設けるなどの対策をとったと述べた。

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