拠点、英国での運航再開。「クイーン・エリザベス」の新しきクルーズ体験

拠点、英国での運航再開。「クイーン・エリザベス」の新しきクルーズ体験
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2021.11.05
2021年8月13日、17カ月ぶりに「クイーン・エリザベス」が運航再開した。
乗客は英国在住者で、ワクチン2回接種者のみという条件付き。
コロナ禍前後でどんな変化があるだろうか。期待と不安の両方を抱えて乗船した。

写真・文=吉田あやこ

乗船前の「予習」が必須

 

まず最初にこのレポートは英国発着クルーズであることを明記したい。同じ「クイーン・エリザベス」のクルーズでも、運航エリアや感染状況により今後は変更もあるだろう。

 

クルーズで最も注目したのは感染予防対策だ。密や接触を軽減するため、乗船前にデジタル機器での準備が求められた。接触回避のためペーパーレスが基本で、パソコンやスマートフォンの利用が必須だった。

 

ワクチン接種証明はイギリス国民保険サービスのアプリを利用した証明書とQRコードを使う。乗船に当たってはスマホが作動しない場合を想定し、印刷もして持参した。オンラインの事前チェックインと健康質問票の記入には一時間以上も費やした。何度もエラーが出る箇所があったからだ。しかし港のチェックイン時に助けてもらえたので問題なし。

 

旅行保険はコロナとクルーズの両方をカバーするものが乗船の条件だ。マスク着用が必須のクルーズなので、荷物には不織布マスク、マスクケース、マスク・ストラップ(サングラス用のような紐)などを加えた。

 

予約書にはサウサンプトン港のオーシャンターミナルに12時に到着すること、とあった。まずは検査会場へ向かう。パスポート、ワクチン接種証明書を提示して、距離を取りながら列に並ぶ。この会場は下船時にスーツケース置き場になる場所だと気づく。事前情報ではPCR検査とあったが、実際は綿棒で鼻腔を拭うラテラルフロー検査(LFT、迅速抗原検査)だった。これなら約15分で結果が出る。

 

本人確認後、スマホ番号を提出した。結果がメッセージで届くという。登録後、バーコード付きのタグを手首に装着する。検査終了後、2階のチェックイン会場へ進んだ。

サウサンプトン港に停泊するクイーン・エリザベスの雄姿
CRUISE GALLERY
サウサンプトン港に停泊するクイーン・エリザベスの雄姿

いざニューノーマルの世界へ

 

「結果は陰性」と約15分後にメッセージが届く。チェックインのカウンターへ進むには、この結果を確認する「関所」があった。このあたりから、新しいクルーズ様式にワクワクしてきた。すべてが初めてで目新しい。ゲーム感覚で次の体験を楽しもう、という気持ちに。面倒だなと思う代わりに、早くニューノーマルに慣れたいものだ。

 

チェックインではクレジットカード登録、保安上の写真撮影後、ボーディングカードをもらう。舷門でスキャンするものだ。クルーズカードは客室の外に届いているという。

 

客室のテレビで緊急時の動画を観る。従来の避難訓練はない。救命胴衣の場所を確かめ、各自で緊急集合場所へ。乗組員がカードをスキャンしたら、セルフ避難訓練は終了だ。

 

船内では皆がプロトコルを守り、問題なく安全なクルーズができた。ひとつ煩わしかったのは交通ポリスが出現したこと。船内は接触を避けるため一方通行となっていたが、うっかり逆行すると、声が飛んでくる。

 

「そっちじゃないでしょ。This way !(こっち!)」。交通ポリスは規則にキビシイわが夫であった。

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船内の床につけられていた一方通行のマーク
除菌ウェットティッシュも設えられていた

豊富なイベントとゆったり観光

 

夏休みに海外旅行しにくい状況は英国でも日本同様だったので、本船の国内クルーズは人気を博した。非日常の世界を楽しめるのがクルーズ。クルーズ中にフォーマルナイト(ガラ・イブニング)が2回あり、おしゃれをしたい人にはピッタリだ。久しぶりのポートレート撮影をしたらとても楽しく、よい思い出になった。

 

社交ダンスはパートナーとのみ踊れ、マスクは不要。珍しいフェンシング教室も定員を6人に減らして催行していた。レクチャーや運動系のクラス、ワインとチョコのテイスティングなども開催され、イベントの種類はとても多い。

 

CRUISE GALLERY
人数を減らして行っていた、キュナード名物の本格的なフェンシング教室
クイーンズ・ルームでのダンスタイム。踊れるのは同室者のみ、マスクは不要
ワイン試飲会などのイベントも実施された

夜のショーは日替わりで変化に富む。ビートルズのコピーバンドBeatles Experienceは、夫である客船評論家のダグラス・ワードもベタぼめだった。夫はかつてバンドリーダーをしていたこともある。そんな夫いわく「演奏、歌、ハーモニーすべてピカイチ」とか。また3本のプロダクションショーはどれもキュナード・ラインらしい豪華さ。ボックス席付きのロイヤル・コート・シアターは、会場自体が美しく、観劇しやすい席も素晴らしい。

ロイヤル・コート・シアターは、マスク着用が必須
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ロイヤル・コート・シアターは、マスク着用が必須
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