【今こそ乗りたい!多彩なフェリー】25年ぶりの新ジェットフォイルと新生「さるびあ丸」で、東京の島へ
全国津々浦々をゆったりとめぐる選択肢としてフェリーを検討している人も多いだろう。
船は電車やバス、飛行機に比べて一人当たりのスペースが広く、その空間は密になりにくいという利点がある。
上級客室になると、広々とした優雅な個室を備えたフェリーも少なくない。
カーフェリーではマイカーともども乗船することもできる。
定期運航していて、思い立ったら気軽に乗れるのもフェリーの良さだ。
こんな時代だからこそ、多彩なフェリーに乗ってみたい──
そんな方に向けて、特徴あるフェリー会社を紹介していこう。
2020年は東海汽船にとってエポックメイキングな年となった。
新たなジェットフォイルと新生「さるびあ丸」の登場だ。
昨年7月にデビューした高速船「セブンアイランド結」。その登場は、単に新しい船が就航したというインパクトを超えていた。同船は従来の高速船とはまったく違う。それはジェットエンジンで海水を吹き出し、空気のかわりに海水から揚力を得て飛ぶジェットフォイルだからだ。
日本におけるジェットフォイルの建造は1995年以来。実に25年ぶりに新登場したジェットフォイルのセブンアイランド結は、速い・揺れない・快適の三拍子そろった船として注目されている。
速い・揺れない・快適の秘密
まずはその速さ。120キロ離れた東京〜大島間を、約1時間45分で運航する。時速約80キロのハイスピードである。その秘密は水中翼にあり。従来の水中翼船が水中翼の一部が海面上に出る「半没翼船」なのに対し、ジェットフォイルは水中翼が全て沈む「全没翼型水中翼船」。この違いが、ハイスピードと高い安定性、なめらかな航行を実現させている。
次に揺れない理由。ジェットフォイルは浮き上がって航行するため、船体への海水の抵抗が少ない。だから波の影響を受けず、ほとんど揺れない。船旅ビギナーがまず心配するのは船酔い。でも同船はその心配が不要である。
そして快適性について。ジェットフォイルには航空機と同じ自動姿勢制御装置を搭載している。航行中の船体の姿勢を自動調節することで、常に最適な船体姿勢のキープが可能となり、抜群の乗り心地を得られる。また緊急時には、自動車並みの短い距離で停船ができるので、安全性も非常に高い。
ちなみにセブンアイランド結はジェットフォイル初のバリアフリーシップでもある。バリアフリー席10席、多目的トイレを設置。車いすが回転できるスペースを確保し、船内階段に昇降式チェアも装備している。
島々と東京湾の夜を満喫
セブンアイランド結デビューの半月前、大型客船の新造船が登場した。3代目「さるびあ丸」である。島の海に映える藍色「TO KYOアイランドブルー」をまとったスタイリッシュな船体が特徴的。内装も船体カラーリングに合わせ、青と白を基調とした上品なデザインに。先代船と比べて、かなり洗練された印象を受ける。
新さるびあ丸は4つのエコロジー機能を搭載したスーパーエコシップでもある。さらに2等優先席・多目的トイレ・船内エレベーターを設置するなどバリアフリーにも対応している。
客室も高級感のある特等室や特1等室があり、いずれもシャワー・ウォシュレットトイレ完備と快適性もぐんと高まった。
星が美しく見える「プラネタリウムアイランド」として知られる東京諸島に行く船として、夜間航海を楽しむための工夫も。トップデッキの床は柔らかいゴムチップに。これならデッキに横になり、星空を眺めることができる。
夜の航海といえば、2020年1月現在、週末限定で横浜から東京までの「東京湾夜景クルーズ」を実施している。料金は大人1000円、子供500円。横浜大さん橋を18時10分に出航、横浜ベイブリッジから羽田空港沖を通り、レインボーブリッジをくぐって、竹芝に19時45分に到着する。東京湾の夜景を、新造船で心ゆくまで満喫できる90分のナイトクルーズ。島に行く時間のない人におすすめのプチ船旅だ。
SHIP DATA
船名:さるびあ丸
※他に大型客船「橘丸」「セブンアイランド結、愛、友、大漁」を運航
総トン数:6,099トン
全長:118メートル/全幅:17メートル
航海速力:20ノット
旅客定員:639人(近海区域)、コンテナ積載:38個
問い合わせ先:
お客様センター
TEL03-5472-9999
https://www.tokaikisen.co.jp