セレブリティクルーズの「セレブリティビヨンド」乗船レポート
上質&アートな空間で、くつろぎのリゾート時間
「セレブリティビヨンド」。同社の客船はデザイン性の高さに注目されるが、
そこは旅を心地よく楽しめる空間でもあった。
セレブリティクルーズのエッジクラスが気になっていて、2020年の春に米国人の友人たちと「セレブリティエッジ」のカリブ海クルーズを予約した。
しかし、結局乗船がかなったのは2022年の欧州。それもシリーズ3船目の「セレブリティビヨンド」(以下、ビヨンド)となった。
これはある意味正解だった。もちろん第一船目、セレブリティエッジは著名な建築家やデザイナーとタッグを組み、上下可動式のオープンデッキ「マジックカーペット」や船尾の開放的なラウンジ「エデン」など唯一無二の施設を搭載し、クルーズ業界で一つの金字塔的なものを打ち立てた船だ。
ただ、ビヨンドは3船目としてサイズやデッキ数も拡大させ、新たな施設や改良を加えて、革新を続けていた。それはエンターテインメント的な施設を増やすというより、海や自然を感じながら、乗客の望む休暇を提供するために注力した結果のようだった。
船体横に設置された「マジックカーペット」も当初はインパクトを意識した施設だと思っていたが、止まる階によって夜はムーディーなレストランになったり、14階のプールデッキにある時は、オープンエアの見晴らし抜群のラウンジになる。テンダーボートの乗り場の時は実に安定した頼もしい施設になるなど、効果的に機能が変わっていく。
また、ビヨンドから改良された「サンセットバー」は、くつろげるカバナに二人席、バーカウンター、抜群の眺望を維持しつつ屋根付きエリアがあったりする。「ルーフトップガーデン」と「ルーフトップグリル」は海と植物に囲まれた癒やしのスポットでこちらも使い勝手や雰囲気がよくなったと人気だ。日本人はプールデッキで積極的に日光浴をする人が多くないが、ビヨンドの屋外デッキなら気に入る場所が見つかるはずだ。
■船内でも海を感じて
天候が悪かったり肌寒い日は、船内でありながらも、外の眺望と緑に囲まれた「エデン」がある。3層吹き抜けでユニークなガラスに囲まれた温室のようなこの空間は、カフェ、バー、レストランを併設し、どの時間帯も自分のスタイルで過ごすことができる。
セレブリティ客船の魅力は床から天井まで大きな1枚ガラスが使われており、開放的なこと。ビュッフェ・レストランも天井が高く、窓際にカウンターテーブルがあるので、眺めも使い勝手もいい。
船内は、気分や用途で趣向の違う施設がそろう。3層吹き抜けのアトリウムは「グランドプラザ」と呼ばれ、大きな「マティーニバー」が中央に位置する。こちらもカウンター席からテーブル席とバラエティー豊か。それを囲むように、周囲にはスペシャリティー・レストランや他のバーやラウンジなどが配置されている。
ビヨンドでは世界的に活躍するミシュラン・シェフのダニエル・ブールー氏が手掛ける洋上初のレストラン「ル・ヴォヤージュ」を新設し、人気を博している。デジタルアートと美食を融合させた「ル・プチ・シェフ」も健在、メイン・ダイニングはコンセプトの違うレストランが4つあり、すべてを体験することもできる。
上質なプレミアム客船でありながら、早い時期から特別カテゴリーを設けた同社。最初はウェルネスに特化したアクアクラス(専用のレストランもあり)。さらにスイート客室専用に「ザ・リトリート」というカテゴリーを設け、専用ラウンジ(屋外、屋内)とレストランを擁する(既存の客船は改装のタイミングなどに合わせて設置している)。