クイーン・エリザベス(キュナード・ライン)日本発着
英国文化と日本の伝統 ともに感じる、静謐な船旅

●時代を超えて愛されるビートルズとクイーン・エリザベス

 

クルーズ最後の夜を飾ったのは「ザ・ブートレッグ・ビートルズ」のショーだ。クルーズを通してショーは2度開催された。両方見ればなおのこと、楽曲や衣装を通じてバンドの60年代の変遷が楽しめる構成になっている。モッズスタイルやヒッピー風スタイルで決めたステージの4人は、その世界最高峰の演奏も含めてビートルズそのもの。曲の間に入れるMCまでそっくりだ。『ハード・デイズ・ナイト』、『ヘイ・ジュード』etc…。乗客はどの曲にも特別な思い入れを抱いているに違いない。リバプール出身の20代と思しき女性は、「ビートルズを聞いて育ったの」と興奮している。約半世紀前に発足したビートルズの音楽は、今なお大勢の心を捉えているようだ。同じく時代を超えて愛されているクイーン・エリザベスの存在と、この不朽の音楽バンドが重なって見えた。

「ザ・ブートレッグ・ビートルズ」のメンバーは、ときにどちらが自分か分からなくなるほど役柄になりきる。膨大な時間をかけて、仕草や身体の動き、話し方を研究し練習を重ねているという
CRUISE GALLERY
「ザ・ブートレッグ・ビートルズ」のメンバーは、ときにどちらが自分か分からなくなるほど役柄になりきる。膨大な時間をかけて、仕草や身体の動き、話し方を研究し練習を重ねているという

●クイーン・エリザベスが 愛される理由

 

翌日はもう下船。心地よい朝日が入るガーデン・ラウンジで最後の朝食を楽しんだ。金沢や秋田のツアーでご一緒した英国人たちが「またね!」と声をかけてくれる。実のところ、この方々と出かけたツアーが、クイーン・エリザベスが愛される理由の一端を垣間見るきっかけとなった。 筆者は兼六園や武家屋敷で、あれほど古式ゆかしい庭や家屋で育ったわけではないのに懐かしさを覚えた。そして日本の長い歴史と伝統を体現する環境が、今も大切に保護されていることに誇りと愛着を感じた。これと同じことを、英国や英国にゆかりのある人々はこの船に対して感じているに違いないし、日本の人々は長い歴史と伝統を持つ英国の船に自然と共感しているのだろう。だから多くの人々がクイーン・エリザベスに一度ならず何度も乗ってみたいと思うのだ。高品質のサービスを含め、この船ほど英国の文化と伝統を現代人に通じる魅力で体現した船はないのだから。 ともあれ、この船の深みをたった1週間で理解し楽しみ尽くすことはできない。次回はもっと長い期間乗っていたいものだ。

【取材メモ】
新緑の日本周遊と韓国 日程:2023年4月19日(水)〜4月28日(金)

船名:クイーン・エリザベス(キュナード・ライン)

コース:横浜〜八代〜博多〜釜山(韓国)〜金沢〜秋田〜横浜(乗船取材は釜山〜横浜)

クルーズ代金:22万5000円(スタンダード内側)〜 総トン数:9万900トン

乗客定員:2,081人/乗組員数:980人

全長:294メートル/全幅:32.3メートル

 

金沢港に接近するクイーン・エリザベス。海風のなか、朝日、海、空、陸からなる美しい景色を堪能できるのがクルーズの醍醐味のひとつである
クイーン・エリザベス日本発着クルーズ2024年

2023年に続き、2024年、2025年とクイーン・エリザベスは日本発着クルーズを実施予定。

2024年は8本を予定しており、初となる東京発着でアクセスがいいのも魅力だ。

【Pick up!】
ビッグバンドボール 初夏の九州と韓国 10日間

日程:2024年5月5日(日)〜5月14日(火)

コース:東京〜別府〜釜山〜佐世保〜清水〜東京

クルーズ代金:21万円〜

 

2024年もテーマクルーズが登場する。テーマは「ビッグバンド・ボール」。このクルーズのための18人編成のオーケストラが演奏するのは、1930〜40年代のビッグバンドの曲の数々。グレン・ミラーやカウント・ベイシー、デューク・エリントンの名曲をはじめ、フランク・シナトラ、サラ・ヴォーンのほか、ハリー・コニック・ジュニアといった近年の人気アーティストのナンバーも披露する。たっぷりと良質な音楽を楽しめる、貴重なテーマクルーズだ。

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春爛漫 日本周遊と韓国 11日間

日程:2024年3月28日(木)〜4月7日(日)

コース:東京〜秋田〜金沢〜釜山〜長崎〜清水〜東京

クルーズ代金:26万円〜

 

桜のシーズンに日本周遊を行うコースで、外国人の人気も高く、船内で国際交流もできそう。さわやかな新緑も楽しめそうだ。

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春の沖縄リゾートと台湾クルーズ10日間

日 程:2024年4月7日(日)〜4月16日(火)

コース:東京〜花蓮〜基隆〜石垣島〜那覇〜東京

クルーズ代金:23万円〜

 

東京から台湾と沖縄をめぐるコースは、一足先にリゾート感を満喫できそう。台湾は花蓮・基隆と2港に寄港。それぞれの違いを体験したい。

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新緑の西日本歴史名所巡り 11日間

日 程:2024年4月16日(火)〜26日(金)

コース:東京〜神戸〜高知〜釜山〜長崎〜広島〜東京

クルーズ代金:23万円〜

 

新緑の美しい季節に、西日本の代表的な港をめぐるコース。それぞれ歴史ある港町だけに、ひとつのテーマを持って寄港地をめぐるのもいい。

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気軽にショートクルーズ 東京〜釜山 6日間

日 程:2024年4月16日(火)〜21日(日)

コース:東京〜神戸〜高知〜釜山

クルーズ代金:16万円〜

 

6日間というコンパクトな日程で東京から釜山までをめぐるコース。長めのクルーズは難しいという人も、クイーン・エリザベスに乗る絶好のチャンスだ。

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気軽にショートクルーズ 釜山〜東京 6日間

日 程:2024年4月21日(日)〜26日(金)

コース:釜山〜長崎〜広島〜東京

クルーズ代金:16万円〜

 

こちらも6日という短めの日程で、釜山で乗船し、東京に戻るコースだ。船内も体験できるうえ、長崎・広島という歴史ある街への寄港も楽しめる。

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ゴールデンウィーク 新緑の日本周遊と韓国 10日間

日 程:2024年4月26日(金)〜5月5日(日)

コース:東京〜青森〜秋田〜釜山〜長崎〜鹿児島〜東京

クルーズ代金:29万円〜

 

ゴールデンウィークを利用した10日間の日程で、現役世代の乗客も増える人気のコース。特に上級客室は早く埋まる傾向にあるので、早めに予約したい。

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初夏の九州と済州島・台北クルーズ 11日間

日 程:2024年5月14日(火)〜24日(金)

コース:東京〜鹿児島〜西帰浦市(済州島)〜基隆〜長崎〜油津(宮崎)〜東京

クルーズ代金:20万円〜

 

爽やかな初夏の雰囲気を感じながら、九州をめぐるコース。1度のクルーズで台湾・韓国の2カ国に寄港するのもこのコースの魅力だ。

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