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国交省、有識者検討会とりまとめ公表 2030年にクルーズ人口100万人目標

2025.07.18
業界

国土交通省は、学識経験者、関係団体、有識者、行政機関で構成する「日本のクルーズ市場の持続的発展に向けた有識者検討会」を、今年2月から計4回開催してきた。このたび、主要課題への対応方針や今後の目標を整理したとりまとめを公表し、2030年までに日本のクルーズ人口を100万人に拡大する目標を明文化した。今後は、産官学が一体となり、この目標達成に向けた取り組みを推進していく。

 

とりまとめのポイントとして、これまでの日本のクルーズ産業は、主として「現役引退後のシニア世代の楽しみ」とした、ラグジュアリー船を中心に普及・定着してきたと分析。一方で世界のクルーズ業界は、ラグジュアリー船だけでなく、プレミアム、カジュアル船の全世代型海洋レジャーとして成長しており、クルーズ人口は3400万人を超えている。

 

日本では近年、大型外国船の進出によりプレミアムおよびカジュアルマーケットの成長が促され、2019年にはクルーズ人口が35万人に達した。しかしこれは世界全体の約1%にとどまっている。その後、コロナ禍で激減したものの、現在は22.4万人まで回復している。

 

今後は、昨年12月に就航した三井オーシャンフジ、今年7月就航の飛鳥IIIに加え、2028年にはディズニークルーズラインの新造船が日本籍船として登場する予定だ。これにより、ラグジュアリーやプレミアムクラスの日本船、さらにプレミアムやカジュアルな外国船を通じて、ファミリー層やヤングアダルト層を含む幅広いターゲットへの商品造成・事業展開が期待されており、日本のクルーズ市場は「多様化のフェーズ」へと発展していくと見込まれている。

 

クルーズ人口の増加は、日本に多方面でメリットをもたらすと分析している。日本のクルーズ産業の発展はもとより、地域への経済波及効果を通じて観光立国の実現に貢献できるとする。さらに、クルーズ産業を中心とした新たな海事クラスターの形成、すなわち海運、造船、船員、旅行業、港湾など海事産業全体の魅力度向上にもつながる。また、クルーズ体験を通じて海への関心を育み、理解を深め、愛着を持つ「海事思想」の普及も期待されるとしている。

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