News

MSC、ブルックリン港でも陸電の本格運用を開始

2025.11.04
業界

MSCクルーズは3日、ブルックリン・クルーズ・ターミナル(BCT)の陸上電源へ初めて接続、成功したと発表した。同ターミナルでの陸電運用はキュナード・ライン、プリンセス・クルーズなどに続くもの。

 

陸電システムを使用したのは「MSCメラビリア」(17万1598トン)で、2日に給電が行われた。同船はこれに先立ち、10月26日に試験接続し稼働を確認していた。MSCクルーズは欧州各地で陸電利用を進めているが、米国で本格運用を始めたのは今年4月のマイアミ港に続いて2カ所目。

 

メラビリアの2025年〜2026年冬季は、ニューヨークを拠点に7泊クルーズを展開。ポートカナベラル、ナッソー、MSCのプライベート・アイランド、オーシャンケイMSCマリン・リザーブへ寄港する。

 

MSCクルーズは2017年以降、新造船全船に陸電対応を標準装備すると共に、既存船のレトロフィットにも取り組んでいる。年末までに、同社が運航する23隻のうち17隻に装備が完了する見込み。

 

「MSCワールド・ヨーロッパ」(21万5863トン)によるバレッタ港(マルタ)での陸電利用は、12カ月間で合計300時間の接続を達成。エクスプローラ・ジャーニーズの「エクスプローラI」(6万3900トン)も同港での初接続を果した。

 

また、「MSC シービュー」(15万3516トン)は最近、イタリアのラ・スペツィア港で新設の陸電システムを試験し、先週は「MSC ポエジア」(9万2627トン)もフランスのル・アーヴル港で接続している。MSCクルーズとしての米国内初の陸電使用は、4月にマイアミ港で行われた「MSCワールド・アメリカ」(21万5863トン)によるもの。

 

同社は2024年に13港で陸上電源に接続し、前年実績の3倍以上に当たる142件の接続に成功している。

 

一方、BCTの陸電インフラを整備してきたニューヨーク市経済開発公社(NYCEDC)は、モバイル・ケーブル・ポジショニング・システム(可動式ケーブル装置)の導入を進め、接続ポイントを岸壁沿いに増設。これにより、船種、船型の対応範囲を拡大、より多くの船が接続可能となった。8月30日にはプリンセスの「エンチャンテッド・プリンセス」(14万5281トン)への給電に成功している。

 

NYCEDCは今後、マンハッタン・クルーズ・ターミナル(MCT)にも陸電システムを導入する計画。同公社によると、ニューヨークは2024年に約150万人の乗客を受け入れ。市全体で約5億ドルの経済効果と3000人の雇用を支えているという。

 

写真提供:MSCクルーズ

MSC、ブルックリン港でも陸電の本格運用を開始
TOPへ戻る
シェアアイコン