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乗船時の「ワクチン接種義務化」は広がるか

2021.03.18

世界各国で新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、英国系クルーズラインを中心に、乗客にワクチン接種を義務化する動きが出ている。これまでにワクチン接種の義務化を発表しているのは英国系船社のサガクルーズとP&Oクルーズ、米国系はクリスタル・クルーズ。いずれも運航再開は早くとも6月以降で、現時点では「ワクチン接種クルーズ」は実現していない。

この動きは他社にも波及するのだろうか。欧米系船社で最も早く全船での長期運航停止を決定するなど感染症対策の先陣を切ってきたバイキング・クルーズは、乗客のPCR検査を乗船中「毎日」行うことにしたが、現時点ではワクチン接種を義務化していない。同社は5月から英国居住者限定で英国発着クルーズを予定している。英国船社のフレッド・オルセンも6月からの英国周遊クルーズを発表したばかりだが、現時点ではワクチン接種を義務化していない。英国では6月以降、旅行などの行動制限が全面的に解除される見込みで、英国周遊クルーズを計画する船社は今後も増えそうだ。

英国以外では、ロイヤル・カリビアン・インターナショナルが5月から開始予定のハイファ(イスラエル)発着クルーズに限定してワクチン接種を義務化しているが、他船については言及していない。イスラエルは世界一ワクチン接種率が高く、人口の約半分が接種を終えているという事情もある(ちなみに米国の接種率は12パーセント、英国は3パーセント)。

とはいえ、英国やEU、米国ではワクチン接種を受けたことを証明する「ワクチンパスポート」の導入が検討されており、実用化すればクルーズの乗船時にも適用される可能性は大いにある。

一方、日本国内ではワクチン接種は義務化されておらず、接種率も0.01パーセントに留まる。クルーズの感染予防対策について国土交通省が定めたガイドラインにはPCR検査も義務化されておらず、日本船社は自主的にPCR検査を実施している。国内でのワクチンパスポートの実施について河野太郎行政改革担当大臣は「海外渡航で必要になった場合には対応が必要になるが、国内で接種証明を活用することは考えていない」と述べている。今後フライ&クルーズで海外に行く場合や、日本で外国船に乗る場合にワクチン接種を求められることはあるかもしれないが、日本船の国内クルーズについては当面ないと考えられる。

ワクチン接種は国により考え方や接種状況が異なり、義務化の賛否は分かれるだろう。一方で、感染の不安なく気軽に旅行できる有効な手段になり得る。一日も早く感染が収束し、再び気軽にクルーズに出かけられる日が来ることを願うばかりだ。(宮崎由貴子)

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