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国交省、クルーズ再開へ中間とりまとめ

2020.09.18
業界

国土交通省は18日、クルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間とりまとめを公表した。クルーズの再開にあたっては、まず国内のショートクルーズをトライアルとして行う方針。その後、トライアルで得た知見を踏まえ、本格的な国内クルーズの実施につなげていきたい考えだ。国際クルーズについては、水際対策の状況や他国の感染対策などを踏まえながら、「所要の準備を進めていく」との言及に留めた。また、中間とりまとめの発表に合わせ、日本外航客船協会と日本港湾協会が感染予防対策ガイドラインを策定。邦船社のガイドライン適合状況は、日本海事協会が認証を行う。外国船社に対して実効性を担保するための措置についても今後、検討・整理していく方針だ。

国交省は、横浜港で発生した「ダイヤモンド・プリンセス」と、長崎で発生した「コスタ・アトランティカ」船内における新型コロナウイルスの大規模クラスター発生を踏まえ、クルーズの安全・安心の確保に向けた検討を行ってきた。今回、感染症・危機管理などの専門家を含む多様な有識者の意見を踏まえ、中間とりまとめを行った。

中間とりまとめでは、ダイヤモンド・プリンセスでの感染拡大事案の検証や、クルーズの再開に向けた道筋、関係者の役割分担、安全・安心確保に向けた具体的措置、実効性担保のあり方、国際的なルール作りを含む主導的役割のあり方について記載した。

クルーズの再開に当たっては、まず第1段階として、第三者認証の取得準備が整ったクルーズ船と受け入れ港から、国内のショートクルーズをトライアルとして実施する。トライアル結果を踏まえ、得られた知見をガイドラインに逐次反映した上で、第2段階では本格的に国内クルーズを開始する。国際クルーズに関しては、水際対策の状況や他国の安全・安心対策との調和に留意しつつ、ガイドラインの検討など所要の準備を進める方針だ。

役割分担についても記載した。クルーズ船の受け入れ判断や感染者・有症者への対応が求められる際は、クルーズ船事業者と、検疫など国の関係機関、港湾管理者や保健所を含む地方自治体との間で、課題の把握と対応を迅速かつ適切に行える体制を構築する。加えて、万一の事態に備えて、クルーズ寄港に関わる関係機関の間で対応訓練を実施する。国際クルーズについては、関係国やクルーズ船事業者が果たすべき役割分担について、感染防止・感染者発生時・感染拡大時に分けて、今後議論を深めていく。

安全・安心の確保については、港湾管理者はクルーズ船の受け入れに際し、ガイドラインに適合するかを確認する。その上で、都道府県の衛生主管部局を含む地域の関係機関で構成される協議会での合意を前提に、クルーズ船を受け入れることとする。船内で感染者が確認された場合は、次の寄港地で陸上隔離を実施後、速やかに下船港に向かう。

国際的なルール作りについても主導的役割を担うことを狙う。外務省関係機関と連携し、国際海事機関(IMO)におけるルール作りを視野に、日本政府としてクルーズ船の安全確保に向けた国際的な議論を主導していきたい考えだ。

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