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新型コロナ下での運航再開の難しさ

2020.08.07
外国船社

ようやく運航を再開した客船で新型コロナウイルスの感染が起きており、あらためてこの感染症と向き合う難しさが浮き彫りになっている。

フッティルーテンの「ロアール・アムンセン」(2万889トン)の2航海で乗客・乗組員合計62人の集団感染が起きたケースでは、外国人乗組員の検疫など予防対策が適切に行われていなかった事例が多発。最高経営責任者が誤りを認めて謝罪する事態となった。ノルウェー国内では感染者が比較的少なく、このエリアで運航再開を目指す船社が多かっただけに、衝撃も大きかった。海外での報道によると、ノルウェー政府は今後2週間、クルーズ客船の入港を禁止する措置をとった。

一方、タヒチで運航を再開したばかりの「ポール・ゴーギャン」(1万9170トン)で乗客1人に陽性反応が出たケースでは、早期発見により他の乗客・乗組員への感染拡大を防ぐことができた。仏領ポリネシア政府が渡航前と入国4日目にPCR検査を義務付けていること、同船がフランス船級協会の認証を得た厳格なプロトコルを遵守していたことが奏功した。

適切な対策を施せば、船内での感染拡大は防ぐことができる。だが、世界各国で感染が収束しない現状で、感染者をゼロにすることは極めて難しく、一人でも感染者が出れば航海を中止せざるを得ない。どのようにクルーズを再開していくべきか、模索は続く。
(文=宮崎由貴子)

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