コロナ禍での地中海クルーズ乗船記【Vol.1準備~入国編】
2021年秋に日本からコスタクルーズの「コスタ スメラルダ」地中海クルーズに参加した体験をレポートする。
写真・文=藤原暢子
●手探りのまま、日本から欧州への渡航準備
2021年9月末に北フランスで行われる新造船の就航セレモニーに参加することになった。セレモニー自体は1泊2日。海外に出て帰国すれば、2週間の隔離措置がある。せっかくならば、2019年の就航後、パンデミックで乗りそびれていた、コスタクルーズの初のLNG客船「コスタ スメラルダ」に乗ってみたい。この時期、欧州の状況は若干落ち着いていて、英国周遊、ギリシャと客船も動き出し、地中海クルーズも再開していた。ただ、日本からでもコスタ スメラルダの地中海クルーズに乗れるのか、乗船、船上、寄港地ではどんな対策が行われているのか……想像がつかない。とりあえず、日本支社を通しての乗船依頼と、欧州への入国規制の確認から、乗船地までの移動、帰国準備の手配などに取り掛かった。
渡航の準備を始めたのは9月に入ってから。日本は8月に感染者が1日平均2万人近くまで増えていて、欧州連合(EU)入国の「レッドリスト(汚染国)」に入れられたばかり。外務省がまとめた各国の入国条件とにらめっこの日が続いた。
飛行機の乗り換え地ドイツ、セレモニーのあるフランス、コスタ スメラルダに乗船するスペイン(バルセロナ)、寄港地が2つあるイタリア。そして日本への帰国。レッドリスト入りはしているものの、入国制限はEU各国によって条件が違うので、ドイツ乗り換えとフランス、スペインの入国はなんとかなりそうだった。
とはいえ、まずは英語のワクチン接種証明と入国前のPCR検査結果が必要だ。EU内でも飛行機の移動があると、航空会社がPCR検査か抗原検査の陰性証明を求めてくる。事前にPCR検査の予約(フランス語やスペイン語も入り混じる)をし、結果が出る日数を逆算してホテルを予約していく(ホテルは特に規制はなし)。
混乱しないように、すべての書類をプリントアウトしていくと、分厚い本1冊分ほどになった。同時にパスポートやワクチン接種証明書などはスキャンして、スマートフォンに保存した。