【連載②:初めてのクルーズ】自分に合ったクルーズの選び方
そんな気持ちを一歩進めて、ぜひ憧れのクルーズへ。
世界の客船のなかから、あなたにぴったりのクルーズがあるはず。
第二回目は、クルーズの選び方を考えていきましょう。
見どころの多い港をつないで旅するクルーズは、まさに「移動するホテル」。一度チェックインすれば、荷物はそのままに船が移動してくれるのです。
例えば日本でもヨーロッパでも5都市をバスと電車で移動する場合、石畳の道をスーツケースを引きずって歩き、泊まるホテルは毎晩異なり、荷物を詰め直すのもひと苦労……。それに比べてクルーズは、夢のように楽な旅のスタイルなのです。
しかも3度の食事のほかアフタヌーン・ティーや夜食付き、夜には迫力あるショーや音楽演奏、ダンスまで楽しめます。ほろ酔い気分で眠くなったら、歩いてすぐのベッドに潜り込めばいいのです。
近年は日本近海でも多くのクルーズ船が航行していて、日本の港から乗れるものもあります。
ヨーロッパなど海外クルーズの場合、ほとんどが「フライ&クルーズ」というスタイルをとります。これは、船が出航する港の国まで飛行機で行き、帰りも飛行機を使います。
世界には250隻以上のクルーズ客船があり、それぞれに個性があります。「思っていたのと違った」というミスマッチを防いで、自分にぴったりのクルーズを見つけることが、クルーズを成功させるカギになります。
「クルーズに行ってみたい」と思ったら、まずは「いつ、どのエリアに行くか」を考えてみましょう。
世界にはクルーズに適したエリアがいくつかあります。訪れてみたいのは、歴史的な見どころの多い地中海? それとも大自然の迫力を感じるアラスカ? まずは日本の行ったことがない港町から攻めるのもいいでしょう。第一歩は興味のあるエリアを考えてみることです。
次に確認したいのが、そのエリアのベストシーズンです。例えば、地中海なら春から秋、オーストラリアやニュージーランドは冬(南半球は夏)がおすすめです。日本発・着のクルーズに関しては、日本船(飛鳥Ⅱ、にっぽん丸)は冬期のクルーズの設定もありますが、外国船は春~秋がメインです。
年末年始しか休みが取れないなら、別のエリアを検討したほうがいいでしょう。年末年始ならではのものに、日本船が毎年実施する「年末年始クルーズ」があります。
仕事のある現役世代の方にとっては、何日間休めるかも重要な問題です。クルーズの日程は7泊8日が一般的ですが、船会社によっては3泊のショートクルーズや、逆に2週間と長めのクルーズを多く実施する会社もあります。最大では100泊以上の世界一周も。
ここで忘れてはならないのが、移動の日数。前述の「フライ&クルーズ」の場合、飛行機の時間や港までの距離、出航時刻などによっては、クルーズの前後にホテルに宿泊する必要があるので、その日数を加えた期間が必要になります。例えば地中海なら、往復の移動に少なくとも2日必要です。
季節とあまり関係なく乗れるのは日本船で、1~2泊からのコースもあります。週末に設定されているコースも多く、現役世代でも乗りやすいでしょう。
最近は日本から乗れる外国船も増えていますが、これらはカボタージュという規制があり、必ず外国の港にワンタッチしなければなりません。だから日本発着を行う外国船の多くが韓国や台湾に寄港するコースとなっており、最低でも5泊から、7~10泊程度が中心です。
日本発着では日本船も外国船もゴールデンウイークに多くのクルーズを設定しています。カレンダー通りの休みが基本な現役世代にも参加しやすいクルーズと言えるでしょう。
行きたいエリアが決まったら、次は大切な「船会社選び」です。客船は移動だけでなく、宿泊や食事など、そこで長い時間を過ごします。考え方はホテル選びに限りなく似ています。
「ほどほどのサービスでいいので、安く済ませたい」「ある程度の予算はあるので、サービスも施設もそれなりに」「せっかくの休暇なので金額にはこだわらず、おいしい食事や細かなサービスで優雅に過ごしたい」など、あなたの希望はどれでしょう。
自分にぴったりの船会社に出会えれば、クルーズの旅は最高に楽しいものになります。どんなクルーズがいいか、予算と合わせてイメージしてみましょう。
客船は大まかに「カジュアル」(スタンダード)、「プレミアム」、「ラグジュアリー」の3つに分類されます。
「カジュアル客船」は船のサイズが大型で、一度に数千人(!)が乗れます。代金は2名一室利用の場合、一人一泊5000円くらいからとかなりお手頃。船内が広いので、施設やレストランの数が多く、にぎやかに過ごしたい人やファミリー向き。
一方で「ラグジュアリー客船」は一泊4万円以上しますが、船は小規模で乗客が少なく、その分手厚いサービスが受けられます。
「プレミアム客船」はその中間に位置します。クルーズの日数は2週間程度と長めに設定。落ち着いた雰囲気の中、リタイアした夫婦がのんびり過ごせるよう配慮されています。
このようにカテゴリーによって船会社をおおむね分類することはできますが、サービスや雰囲気はそれぞれ異なります。乗客がアメリカ人ばかりなのか、それとも多国籍なのかによっても船内の雰囲気は大きく違います。同じ船会社でも、ショートクルーズより長めのクルーズのほうが落ち着いた雰囲気があります。
予算や好みをもとに、「このカテゴリーがいいかな」と思ったら、各社のホームページやパンフレットを見てみるのもいいですね。
実際に乗ってから「ちょっとにぎやか過ぎた」「豪華で落ち着かなかった」などミスマッチがないように、「クルーズでどんなふうに過ごしたいか」をよくイメージしてみることが大切です。
次のページではより細かく、「カジュアル」(スタンダード)、「プレミアム」、「ラグジュアリー」の3つのカテゴリーについて紹介していきます。