【特集】より快適に、より多彩に。進化するフェリー
露天風呂を備えるフェリーはいまや少なくない。
ほかにもプラネタリウムや映画スペースなど公室が充実。
プロジェクション・マッピングなども行われている。
フェリーさんふらわあの大阪〜志布志航路に就航する、さんふらわあ さつま/きりしまの船内に足を踏み入れると、真っ先に天井に目が釘付けとなる。そこでは国内フェリー初のプロジェクションマッピングのショーが行われているのだ。
太平洋フェリー「きたかみ」では、まるで宇宙空間にいるようなプロジェクションマッピングの演出がある。いずれもフェリー新時代の到来を感じることができる。
宇宙といえば、東京九州フェリーのスクリーンルームで上映されるプラネタリウムは必見。その癒やしの効果に、ついつい気持ちよくなって眠りに誘われる人も続出だ。
フェリーの癒やしスペースで代表的なのが展望浴場。東京九州フェリーや阪九フェリー、新日本海フェリーにはサウナだけではなく露天風呂も! 潮風に当たりながら浸かる露天風呂は至福のひとこと。
船長気分を味わえるのが船首の展望ラウンジ(ビューシート)。昨年デビューのシルバーブリーズやクイーンコーラルクロスにも設置されている。阪九フェリーの展望ルームは午後11時まで開放されているので、瀬戸内ナイトクルーズをブリッジにいるような感覚で楽しめる。
ところで、フェリーが他の公共交通機関と大いに異なる点は何か。その一つがペットと一緒に過ごせることである。ドッグランはもちろん、最近はペットとともに寝起きできる客室を設ける船も少なくない。
キッズルームも備え、子供でも長い船旅を楽しめる工夫をする船も増えている。その他、スポーツジムやゲームコーナーといったアミューズメント施設も充実し始めている。
目に見える施設ではないが、サービスも進化中だ。商船三井フェリーやフェリーさんふらわあ(志布志航路)は、船内専用エンタメサービス「さんふらわあスマートクエスト」を導入。手持ちのスマートフォンなどで、到着地の天気や観光情報を調べられるだけでなく、約100タイトルの映画を無料で視聴できる。
食に注力するフェリーが増加中。発着地の味を
楽しめたり、バーベキューができたりする。
大きくバイキング形式とカフェテリア方式に分かれるフェリーのレストラン。最近は東京九州フェリーのようにタッチパネルでオーダーするスタイルも。また、季節によってはデッキでバーベキューも楽しめる船もある。
寄港地の名物を味わえるのもフェリーのレストランの特長だ。北は北海道から南は奄美・沖縄まで、全国各地の味覚を楽しめる。
新日本海フェリーでは、4〜10月限定で、グリルで本格的なコースメニューも提供する。日本海の旬の食材を活かしたクルージングランチ・ディナーを、地酒やワインとともに舌鼓を打つ。ワンランク上の日本海クルーズを楽しみたい。
長い船旅が叶わないなら、
中・短距離のプチ・クルーズは、いかがだろう。
ゆっくり時間がとれない人は、中、短距離のプチ・クルーズはいかがだろうか。島国ニッポン、船旅の選択肢は多様だ。
瀬戸内の魅力に思う存分触れられるのが、瀬戸内海汽船の高速クルーザー「シー・スピカ」(SEA SPICA)。広島〜三原クルーズでは、フェリーなどでは寄港できない小島の訪問や音戸の瀬戸通過、海上自衛隊呉基地での艦船遊覧など見どころ満載だ。
野母商船のフェリー「太古」の福江(五島)から博多までの昼便は、世界遺産登録の島々を海上から望み、狭い水路を縫うように走る。7時間半があっという間の船旅だ。
福岡から韓国の釜山に就航していたJR九州高速船の「クイーンビートル」は国際運航ができない日々が続いたのもあり、パナマ船から日本船籍に。今後は国内での遊覧運航なども多く実施しそうで、期待したい。
首都圏の方は、もっとも手軽なのが東海汽船だろう。高速ジェットホイルなら2時間で離島へのプチ・クルーズがかなう。
東京・横浜を中心にレストラン船という選択肢もある。また神田川などのリバークルーズも。短時間でも川や海から見る景色に一息つきたい。