モダンなリバー船で訪ねる、おだやかな夏のドナウ川
<エメラルド・ウォーターウェイズ>

翌朝、ザルツブルク観光へ出かける乗客を降ろし、ドイツ、オーストリア、チェコが国境を接する街パッサウに向け航行する。緑がより一層深くなり、森が両側から迫ってくるようだ。キャンプ場が見えたり、釣りをしている人がいたり、自転車で快走する人がいたり。緩やかに蛇行するドナウ川を少しずつ進むにつれて、違った景色が見えてくる。

 

静寂のなか、水をかき分ける音だけが心地よく聴こえ、時間が過ぎるのを忘れてしまうほどだった。バッハウ渓谷もいいのだが、川幅が狭くなるパッサウまでのクルーズは、リバークルーズの醍醐味を味わうのにぴったりだと感じた。

 

この日の夜はフェアウェル・ガラ・ディナー。クルーズの終わりが近いことを感じ、しみじみとした気持ちになった。

前方デッキはロック(閘門)の通過時など、撮影場所としても好適
CRUISE GALLERY
前方デッキはロック(閘門)の通過時など、撮影場所としても好適

7日目、予定より1時間早くレーゲンスブルクに到着した。レーゲンスブルクの旧市街は、世界遺産に登録されており、文化財保護指定を受けている建物が984もある。貴族たちが裕福さを誇示するために競って高い塔の建物を造ったそうで、その名残を街の随所で見ることができた。

レーゲンスブルクの土産物店では、乗客のために鳩時計のデモンストレーションが行われた
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レーゲンスブルクの土産物店では、乗客のために鳩時計のデモンストレーションが行われた

この日は夕食後に「トラディショナル・ババリアン・ミュージック」(伝統的なバイエルン音楽)のショーがラウンジで開催された。

 

夕食時、停泊する船に音楽隊たちが乗ってきたのだが、停泊場所がフェンスで囲まれていて中に入ってくることができず、フェンスをよじ上ろうとするも足がかけられないほど細くて諦め、迂回することを選択──。その一連の様子をレストランの窓から見ていた乗客たちからは笑いが起こり、そういった経緯もあってか、その後のショーも大いに盛り上がった。

 

正直、知らない歌や曲ばかりだったが、リズミカルな音楽なのでわからなくてもその場の空気にすんなりと溶け込めた。手拍子したり、体を揺らしてリズムをとったり、恥ずかしがらないでやってみると、心の底から楽しめた。

バイエルン地方の民族衣装を身にまとった音楽隊
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バイエルン地方の民族衣装を身にまとった音楽隊

その後のクルーショーでは、クルーがユニフォームから私服や衣装に着替えてさまざまな出し物を披露。一週間、毎日あいさつを交わしながら過ごしたクルーたちの違った一面を見ることができ、会場は一体感に包まれた。海のクルーズでは感じられないクルーや乗客との距離感だと思った。

 

下船地のニュルンベルクでは、乗客一人一人に合わせ、空港や市内ホテルまでの送迎がある。ブダペスト到着時もそうだったが、各乗客のフライト時間に合わせて空港までの送迎が無料でついているのは他船との大きな違いだと感じたし、とても便利で助かった。

 

ロビーでは乗客同士が「Have a nice trip!」などと声をかけ合い、それぞれが次の旅の目的地に向かったり、帰国の途についた。

 

下船前、レセプションで毎日顔を合わせていたブルガリア出身のデシスラヴァさんと言葉を交わした。「無料のレンタル自転車で寄港地を回ったり、ラウンジでワインを飲んでくつろいだり、自分次第で楽しみが広がるはず」と、話してくれたことが印象的だった。

 

カイザーブルク城の塔から見渡すニュルンベルクの街並み
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カイザーブルク城の塔から見渡すニュルンベルクの街並み
ペンアイコン取材メモ

ドナウの贈り物7泊8日
日程:2017年7月29日(土)〜8月5日(土)
コース:ブダペスト(停泊)〜ブラチスラバ〜ウィーン〜デュルンシュタイン/メルク〜パッサウ〜レーゲンスブルク〜ニュルンベルク
クルーズ代金:2,545〜4,840ドル
(2名一室利用の1人分)
船名:エメラルド・サン(エメラルド・ウォーターウェイズ)
全長:135メートル/全幅:11.45メートル
乗客定員:182人/乗組員数:47人

問い合わせ先:セブンシーズリレーションズ
TEL0120-992-418
http://www.emerald-ww.jp

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