ルフトナー・クルーズ
緑深きブルゴーニュと、ラベンダー咲く初夏のプロヴァンス
(この記事はCRUISE2018年2月号に掲載したものです。)
フランス第2の都市リヨンの中心地から車で5分ほど。いい気候なら気持ちよく歩ける距離感のこの場所が今クルーズの乗船地だ。
6月中旬、リヨンの街にはすでに強い日が降り注ぐが、湿度は低くからっとしている。日差しに温められた道路の熱気と涼やかな風が混ざり、不思議と快い。
リヨンは、ローヌ川とソーヌ川が合流する街。豊かな水に恵まれ、ローマ時代から栄えてきた歴史深い世界遺産の街でもある。今回乗船する「アマデウス・プロヴァンス」はここを発着地として、ローヌ、ソーヌの2つの川をめぐるクルーズに就航している。
20時、ディナーの最中に船は静かに出航した。食事を終えサンデッキに上がると、川に沿って灯る生活の明かりと日暮れのオレンジ色の空、そしてその空を映し染まった川面が幻想的な光景をつくっていた。私にとって今回が初めてのリバークルーズ体験。街中を航行するリバークルーズならではの景色を目の前にし、胸が高鳴った。
■ブルゴーニュのワイン街道へ
出航後、ソーヌ川を北上し、まず向かうはブルゴーニュ地方。言わずと知れたフランスを代表するワインの産地の一つで、このワインの里を行き、どっぷりとワインに親しむのが前半のハイライトだ。
最初の寄港地マコンは、白ワインの一大生産地マコネ地区の中心の街で、主にシャルドネを使用したワインを出荷している。このマコネ地区のブドウ畑に立ち寄り、あの「ボジョレー・ヌーボー」の生産地ボジョレー地区へと足を延ばす寄港地ツアーに参加した。
バスに揺られ、街を抜けるとすっと視界が開けた。両脇には奥までブドウ畑が広がっている。この地区の畑の約8割が白ブドウ、シャルドネだという。ガイドさんがブドウの品種からこの地のワインの特徴まで丁寧に説明してくれる。
その後訪ねたボジョレー地区で育てられているのは、9割以上がガメ種の黒ブドウ。白ブドウのすらっとした木に比べ、黒ブドウの木はずんぐりした印象だ。そんな違いを感じられるのもおもしろい。
この後のワインテイスティングの機会には、道中1時間ほどで得た知識で、ふむふむとそれなりに理解しながら楽しむことができた。
3日目に寄港したシャロン・シュル・ソーヌでは、ブルゴーニュワイン生産地の中心にあるボーヌへ。15世紀に建てられたホスピス、オテル・デューでは毎年、有名なワインのチャリティーオークションが開かれる。前日とは違った角度からブルゴーニュ地方のワインに触れられた。
(上メイン写真)
昼下がりの船尾プールデッキ。午前は寄港地観光へ、午後はデッキで日光浴やプールと、バランスを取りながら過ごす乗客が多い