久々に海外クルーズへ!
多彩な文化を感じられるシンガポールクルーズ
異国の文化を感じながらの船旅へ、久々に出たい。
ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)の
最新鋭の客船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」で行く
シンガポール発着のクルーズをレポート。
●コロナ禍明けのアジアクルーズを象徴する最新鋭の大型客船
「パスポートは……持った」、「クレジットカードはあるかな?」。
空港に行く道すがら、何度も持ち物を確認してしまった。なんだか初めて自力で海外旅行に行った日のことを思い出す。コロナ禍でしばし遠のいていた海外クルーズだったが、だからこそ久々の乗船は多少の不安とともに、期待感がひとしおだった。
果たして降り立ったシンガポールの空港は、人々がマスクをしている以外は(※1)、コロナ禍以前と変わりはなかった。さまざまなファッションに身を包んだ多様な人種が空港内を闊歩していて、「ああ外国に来た!」という気分が高まる。多民族国家のシンガポールは、多彩な外国の文化を感じるという意味で、久々の海外クルーズの地としてふさわしい国のひとつ……さっそくそう思った。
そんな高揚した気分で乗り込むのは、ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)の「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」(16万9379トン)。「クァンタム・ウルトラ・クラス」第一船として2019年に就航した最新鋭の大型客船で、2020年7月には東京国際クルーズターミナルへ開業第1船として入港予定だった船だ。コロナ禍によって中止となったが、異国シンガポールで会えるなんて……とその奇縁に感慨深く思った。
同船は2022年4月よりシンガポール発着クルーズに就航。しばし無寄港クルーズを行っていたが、6月末にはマレーシア寄港を再開した。そしてこの10月にはタイ寄港も再始動する。2023年7〜8月には日本に来航予定もあり、いわばコロナ禍明けのアジアクルーズを象徴する一隻だ。
(※1)取材時の様子。シンガポールでは8月末より屋内でのマスク着用義務が撤廃されている
●4泊では遊び尽くせない……!?
発着するマリーナ・ベイ・クルーズ・センターへは、宿泊していたマリーナ・ベイ地区からタクシーで10分足らず。ストレスなく行けるアクセスの良さがうれしい。ターミナルではシンガポール人、とりわけファミリーや若いカップルを多く見かけた。前に並んでいたグループは「一度乗ったら4歳の娘がすごくこの船を気に入って、今回は3世代での参加!」とウキウキした様子で教えてくれた。
いざ乗り込んだ船内は、就航して間もないこともあり、ピカピカだった。インテリアは予想以上にモダンな雰囲気で、どの世代にもうけそうだ。そして船内を散策してみると、次々と現れるエンターテインメント施設の数々。「4泊、しかも航海日が一日しかないと、遊び尽くせないかも……!」と、さっそくうれしい悲鳴を上げた。
●最新鋭の楽しみが凝縮
同船の数多いアトラクションでもぜひトライしたいのが、カプセル型の展望デッキ「ノーススター」だ。船上からカプセルが突き出たような施設で、乗客を乗せてゆっくりと空に上がっていく様子は実にユニーク。実際にカプセルの中に乗ってみると、まるで自身がドローンかヘリコプターの上から見ているような斬新なアングルで、巨大なこの船や大海原を眺められる。乗り合わせた乗客皆が興奮して最初は無言でシャッターを切り、そのうちスマホで自撮りしたり、写真を撮るのを頼まれたり……とカプセルの中が妙な一体感に包まれたのも興味深かった。15USドルと有料だが、乗船する際はチャンスを逃すべからず。
有料といえば、世界に数カ所にしかないというスカイダイビングシミュレーター「アイフライ」も、洋上ではRCIだけのもので、69USドルを払ってもぜひ体験してみたいものだ。巨大な長い筒状の設備の中で体験できるのは、魔訶不思議な浮遊感。下からの強力な風力で体を浮かせてスカイダイビング気分を味わえる仕組みだが、終わったときには風力で体の毒素が飛ばされたような、妙な爽快感があった。同じタイミングで飛んだ乗客たちも皆、「もう一回やりたい!」と口々に言っていた。