久々に海外クルーズへ!
多彩な文化を感じられるシンガポールクルーズ
●Wi-Fiも飲食も最新鋭
驚いたのは、この船には紙に印刷された船内新聞がなく(※2)、すべて専用のアプリケーションで船内スケジュールが示されていること。エンタメ施設や各種ダイニングの予約もこのアプリ上で行う。人気のエンタメやダイニングは満席になることもあるから、いかにアプリを使いこなすかが洋上生活を楽しむ鍵になる。
ちなみに船上のWi-FiはVoom SurfとVoom Streamの2種類あり、どちらも有料(※3)。日本人が頻繁に使うチャットアプリ「LINE」や動画閲覧はStreamで対応しており、これまで乗ったどの船よりサクサクと動いた。洋上でのワーケーションも、寝る前にお気に入りの動画を見ることも、この船上Wi-Fiならかなう。こうしたところもこの船が最新鋭たるゆえんだ。
(※2)取材クルーズでは。クルーズによっては配られる場合もある
(※3)Voom Surfプランで24時間19.99USドル、全泊分購入の場合は1泊あたり12.99USドル〜。これもアプリから購入可能
●ロボットに心動かされる近未来がここに
飲食でも同様に〝最新鋭〟を感じるシーンが多々あった。例えば有名なロボットがカクテルを作ってくれる「バイオニックバー」。ここには常に人が集い、カクテルができるたびに歓声が上がっていた。カクテルは定番のものから味も配合も好きに決められるものまで、種類は無限大だ。心がないはずのロボットが作る、一杯のカクテル。それに乗客たちの心が動かされている光景は、なんだか「近未来」を目の当たりにするかのようだった。この船では飲食もエンターテインメントの一部だ。
●久々に異国にふれる喜び
こうした船上の充実度もさることながら、久々の外国の寄港地も刺激に満ちていた。寄港国のマレーシアでは事前にアプリで個人データを登録すれば、乗船時に船にパスポートを預けたまま、なんのチェックもなく下船できた。
マレーシアもシンガポールと同じく多民族国家だ。マレー人を中心に、中華系やインド系などで構成されている。最初の寄港地ポートクランから、まずはバトゥ洞窟を訪れた。ここは石灰岩の洞窟の中がヒンドゥー寺院になっていて、インド以外にあるヒンドゥー寺院として最も有名な場所だ。
洞窟内にはなまめかしいカラフルなライトアップの中に、極彩色の寺院がそびえたっていた。お香のエキゾチックな香りがたちこめる中を、インドの民族衣装であるサリーをまとった女性が熱心に祈りを捧げている。
そこはまさしく〝異国〟だった。世界は広く、日本にいるとふれる機会が少ない、さまざまな文化がある。コロナ禍で旅行、ましてや海外旅行は不要不急だと烙印を押された気がしていた。けれど知らないことを知りたいという欲求、異文化を体験したいという知的好奇心は、決して人生に不要なものではない。むしろ人生を彩る大切なエッセンスだと、異国のヒンドゥー寺院を眺めながら痛感した。これからは胸を張ってどんどん海外への旅を楽しもう、とも。