【新しい船が、待っている】飛鳥を継ぐ新造船

【新しい船が、待っている】飛鳥を継ぐ新造船
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2021.06.27
構成=クルーズ編集部

「飛鳥Ⅱ」を運航する郵船クルーズが、ついに2025年に就航する新造船の計画を発表した。

エコでラグジュアリー、かつ“和のおもてなし”をキーワードにした、世界に類を見ない新造船になりそうだ。

この新造船について、建造契約におけるキーマン達に話を聞いた。

 

* * * * *

 

2021年3月31日の朝、そのビッグニュースが飛び込んできた。「飛鳥Ⅱ」を運航する郵船クルーズが、ついに新造船の造船契約を締結したという。新造船の建造はクルーズファンはもとより、クルーズ業界の関係者の間でも長らく待たれていたものだった。

 

ついにベールを脱いだ新造船は、飛鳥ブランドを継承するにふさわしい、もてなしの心に満ちている。サイズは5万1950トンと、現在の飛鳥Ⅱを少し大きくしたサイズ。乗組員数は約470名と現在の飛鳥Ⅱの約490名とほぼ同数ながら、乗客定員を飛鳥Ⅱの872人から新造船では740人に、約85パーセントに抑えている。すなわち乗客のスペースはさらに広くなり、クルーによるサービスはさらに手厚くなることを意味する。

 

郵船クルーズの坂本深社長は、サービスコンセプトを「飛鳥ラグジュアリー」とし、今まで飛鳥クルーズが培ってきた和のおもてなしをさらに進化させていきたいとした。

 

そんな進化が具体的に感じられるのがダイニングだ。船内にはメイン・ダイニングのほか、寿司を含めた和食レストランや、イタリア料理レストラン、肉とワインを楽しめるグリルレストランやカフェなど15カ所以上もの食スポットが登場。ダイニングによっては、好きな時間に食事が楽しめるフリーシーティング制も採り入れる予定だ。

 

「ウエルネス」すなわち健康をテーマにしているのも新鮮だ。飛鳥Ⅱで人気の露天風呂は新造船にも登場、今度は前方に設置され大海原を進む様子を見ながら入浴できる。ウォーキングできるオープンデッキ、フィットネスセンター、ゴルフシミュレーターなどの施設も。

 

機能面でも特徴は多い。新造船は中型船としては世界で初めて、液化天然ガス(LNG)、低硫黄燃料、ガスオイルの3種の燃料に対応する。坂本社長は「地球にも配慮して過ごすクルーズは次世代の新たな旅の選択肢となるだろう」と語る。

 

感染症対策も万全だ。換気に関しては100パーセント外気取り込み方式で排気と吸気を分ける。エレベーターや公共トイレなど、多くの人が利用する場は、非接触で作動するボタンなどを採用する予定だ。

 

建造はドイツのマイヤーベルフト造船所で行い、2025年就航予定。あと4年、その日が待ち遠しい。

 

 

“飛鳥”を継ぐ新造船、3つのポイント

【1】和のおもてなしを感じられる 飛鳥ラグジュアリー

 

新造船は世界のラグジュアリー客船の中でも稀なほどの広々とした空間を誇る。客室は全室バルコニー付きとなり、飛鳥Ⅱにもあるスイート専用ダイニングなど上質なサービスも継続する。“和のおもてなし”はもちろん健在。船内には日本人に愛される木のぬくもりを取り入れ、日本語によるサービスや四季折々の食材を使った味などを提供する。

飛鳥新造船の客室(イメージ)
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飛鳥新造船の客室(イメージ)
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【2】幅広い世代に対応する モダン&リラックス空間

 

船内にはリラックスできるスペースを多く設ける予定。Wi-Fiも備え、ワーケーションやロングステイも可能になる。初めて一人用の客室も登場する。一人でも初めてでも慣れ親しんだ人とでも、幅広い世代の乗客が楽しめる客船になりそうだ。ハード面では飛鳥Ⅱより喫水が浅くなり入れる港が増えるため、コースもさらに多彩になるだろう。

飛鳥新造船のダイニング(イメージ)
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飛鳥新造船のダイニング(イメージ)
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【3】最新テクノロジーを採用 安心のエコシップ

 

環境に配慮して3種の燃料に対応するほか、日本の客船としては初めて、船体制御装置ダイナミック・ポジショニング・システム(D.P.S)を搭載する。これは錨泊が必要な港でも錨を下さず安全に停船や位置の保持をすることができる装置で、サンゴ礁など海底の環境を傷つけることはない。そのほか脱プラスチックなどサービス面でも環境に配慮する。

飛鳥新造船のアトリウム(イメージ)
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飛鳥新造船のアトリウム(イメージ)
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〈SHIP DATA〉
船名未定(郵船クルーズ)
就航年:2025年
総トン数:5万1950トン/乗客定員:約740名
全長:228.9メートル/全幅:29.8メートル

※新造船の写真はすべてイメージ図。掲載内容とともに変更になる可能性があります。

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