【新しい船が、待っている】飛鳥を継ぐ新造船

【新しい船が、待っている】飛鳥を継ぐ新造船
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2021.06.27
資金調達を成し遂げ、“地方創生”を目指す

今回の新造船契約に当たり、資金調達は重要だ。その役目を担ったのが2019年3月からの株主であるアンカー・シップ・パートナーズ。多くの地方銀行が参画した背景について聞いた。

 

 

佐々木真一郎専務取締役(右)と井上耕輔マネージングディレクター(左)。同社の受付には飛鳥Ⅱの船体写真なども飾られ、このプロジェクトにかける意気込みが感じられる
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佐々木真一郎専務取締役(右)と井上耕輔マネージングディレクター(左)。同社の受付には飛鳥Ⅱの船体写真なども飾られ、このプロジェクトにかける意気込みが感じられる

 

――アンカー・シップ・パートナーズが郵船クルーズの株主になり、新造船計画が一気に進みました。

 

佐々木真一郎専務取締役(※以下敬称略)実はその前から新造船の話自体は聞いていました。それが株式取得から具体的に進み、私はドイツでのキックオフミーティングも参加しました。

 

――地方銀行が参画することになったプロセスを教えてください。

 

井上耕輔マネージングディレクター(※以下敬称略) 地域に根差した銀行の方々は、その地ならではの良いものを知っています。そして地域経済を発展させること、その地の魅力を発信することに熱心です。港から港を航海する飛鳥クルーズと地方銀行がタッグを組んだら、その相乗効果はとても高いのではというのが出発点でした。そして2019年4月に地方銀行50社に集まって頂き、飛鳥クルーズと地方創生というテーマで勉強会をしたのがプロジェクトの始まりです。

 

――結果として地方銀行29行を含む30行も参画することになり、プロジェクトとして大成功でした。

 

佐々木 地方創生をテーマに郵船クルーズと連携できることに対して、大変高い評価をいただきました。それにはこれまで郵船クルーズが築いてきた「飛鳥ブランド」に対する信頼感があったと思います。

 

――地方銀行が参画することで、どんなことができ、どんな効果が生まれるのでしょうか。

 

井上 地方銀行はその地の優れたものをよくご存じで、ネットワークもあります。これまで地方銀行のご紹介で、人間国宝の方の窯元を訪れる寄港地観光ツアーも実施しています。飛鳥Ⅱのお客さまからは、普段行けないところに行き、なかなか会えない方に会えたとご好評いただきました。ほかにも地方銀行のご紹介で地元の酒蔵のお酒を船内に入れたりもしています。地域の工芸品を飛鳥Ⅱを通して紹介する機会もありました。

 

佐々木 地方銀行の方々は単に逸品だけでなく、その背後にある「ストーリー」をよくご存じです。飛鳥Ⅱのお客さまは目も肥えていらっしゃいますし、ストーリーを重視される方が多い。そうした地域の優れたものを、これからも飛鳥Ⅱを通して紹介していくことができますし、一方で地方銀行の顧客の方々に飛鳥クルーズを紹介することもできる。Win -Winの関係だと感じています。

 

――コロナの影響はありましたか。

 

井上 融資を募る締め切りが202 0年の3月で、ちょうどクルーズ船のことが大きく報道された時期でした。その後、契約締結まではコロナ禍と被っています。それでもどの銀行も欠けることなく、先を見越してサポートいただいたのは、感謝しかありません。

 

――プロジェクトに参加されて思うところを教えてください。

 

佐々木 プロフェッショナルな方々が集中して取り組み、これまでの経験や知見を新造船に注いでいるので、ものすごく良い船になると感じています。われわれはさらに付加価値を高められるように、地方とのネットワークをつなげていければと思っています。

 

『CRUISE』2021年夏号に掲載
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