商船三井が購入発表!にっぽん丸船隊に加わる、
現「シーボーン・オデッセイ」とは、どんなクルーズ船か?

商船三井が購入発表!にっぽん丸船隊に加わる、 現「シーボーン・オデッセイ」とは、どんなクルーズ船か?
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2023.03.17
2023年3月17日、驚きのニュースが飛び込んできた。
にっぽん丸を運航する商船三井客船の親会社である商船三井が
シーボーン・クルーズの「シーボーン・オデッセイ」を購入、
すでに引き渡しを受けたと発表したのだ。
現「シーボーン・オデッセイ」とは一体どんな船なのか。
そして商船三井が見据える、クルーズの未来とは。
文=CRUISE編集部
商船三井が購入を発表した「シーボーン・オデッセイ」。上品なプールデッキを擁す

「にっぽん丸」に妹ができる、それが現「シーボーン・オデッセイ」だ……! 3月17日に飛び込んできたニュースに目が覚めた。商船三井が同船を購入し、引き渡しを受けたと発表したのだ。

 

それにしても、クルーズファンはもちろん、業界関係者の多くがこのニュースに驚いたはずだ。編集部でももちろん、「え!?」という驚きの声があがった。

 

シーボーン・オデッセイ 船体
シーボーン・オデッセイの外観。客船らしい美しい船型だ
CRUISE GALLERY
シーボーン・オデッセイ 船体
シーボーン・オデッセイの外観。客船らしい美しい船型だ

 

というのも商船三井といえば、2022年11月に新造船の建造を発表したばかりだったからだ。2027年就航予定の新造船は、乗客定員600人の3万5000トンで、しかも2隻。

 

そこに加えて、今回の発表だ。商船三井客船によると同船は改装などを経て2024年末には船隊に加わり、現在運航している「にっぽん丸」とともにサービスを提供するという。その時点で乗客定員は現在の倍以上になる。そしてもしそのまま2027年に新造船2隻が加わると乗客定員はざっくり見積もって5倍近く(!)にもなる。

 

商船三井のこの大胆かつ積極的なクルーズ事業拡大計画に、クルーズファンはもとより、業界関係者も嬉しい動揺を覚えているはずだ。これまではまず「どのコースに乗ろうか」と思っていた方も、まずは「どの船に乗ろうか」と迷うことが増えるのは間違いない。商船三井ではクルーズ事業を新たな成長分野と位置付け、当該事業を拡大すべく、新たな部署も設立している。

シーボーン・オデッセイ アトリウム
シーボーン・オデッセイのアトリウム。モダンなインテリアが特徴

そもそもこの「シーボーン・オデッセイ」とはどんな船なのか。シーボーン・オデッセイを運航するシーボーン・クルーズといえば、ラグジュアリー船社の先鋒として知られる。業界に先駆けて、アルコール類を含むドリンク代やチップをクルーズ代金に含んだオールインクルーシブ制を導入。いわば「お財布はもちろん、サインもカードも不要」なクルーズを実施した先駆者でもあった。

 

シーボーン・クルーズはもともと、ノルウェーの資産家によって設立されたクルーズ船社だ。80年代後半より1万トン台の客船を3隻建造、運航してきた。

 

客船の世界にまつわる一般的な誤解に、「大きい船=豪華」というものがある。実際は逆で、「小型=高級船」という図式が成り立つ。その図式を成り立たせたクルーズ船社のひとつが、クルーズ業界の黎明期から小ぶりな1万トン客船によるラグジュアリーなサービスを行ってきたシーボーン・クルーズと言えよう。

シーボーン・オデッセイ プールデッキ
シーボーン・オデッセイの開放感あるプールデッキ
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シーボーン・オデッセイ プールデッキ
シーボーン・オデッセイの開放感あるプールデッキ

そんなシーボーン・クルーズは2001年に大手カーニバル・コーポレーション傘下に入り、2009年から3隻の3万トン型客船を新造した。その第1船が「シーボーン・オデッセイ」だ。イアリアのT.マリオッティ造船所で建造された客船で、当時1万トン客船を運航していたシーボーンの新造船が、3万トンと3倍もサイズアップしたことも話題になった。

 

現「シーボーン・オデッセイ」は229室で3万2477トン、にっぽん丸が203室で2万2472トンなので、ほんの少しだけ大きい。にっぽん丸の建造が1990年なので、19歳若い妹だ。

 

客室はすべて寝室とソファなどが置かれた居室が分かれたスイートルーム仕様。229室のうち209室がバルコニー付きとなっている。一番小さい「オーシャンビュースイート」でも28平方メートルの広さを誇る。にっぽん丸のスーペリアツインが14平方メートルなので、実に倍の広さだ。

 

シーボーン・オデッセイ 客室 部屋
シーボーン・オデッセイのベランダ・スイート。ベランダ付き客室がメインとなる
シーボーン・オデッセイ 客室 部屋
シーボーン・オデッセイのオーシャンビュー・スイート図。ベッドルームとソファエリアが分離している

気になる施設が、2デッキの船尾にある格納式マリーナだ。これまで日本船にはなかった施設で、温暖な海域では直接海に出ることも可能にするアクティブな施設だ。「にっぽん丸」はこれまで定番クルーズとして「飛んでクルーズ沖縄」を毎年行ってきた。沖縄の海へ船からGo!が実現するのか……気になるところだ。

シーボーン・オデッセイ マリーナ 船尾 海に直接
船尾のマリーナ。今後どう活用されるか気になる
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シーボーン・オデッセイ マリーナ 船尾 海に直接
船尾のマリーナ。今後どう活用されるか気になる

さらにダイニングも複数擁している。中には古き良きアメリカの上品なレストランをイメージしたグリルレストランもある。ここは全米一予約の取れないレストランと言われる「フレンチ・ランドリー」を営むシェフトーマス・ケラー氏が監修している。

 

ただしこれらの施設は2024年末より日本で運航されるにあたって改装、アップデートされる予定だ。日本人に加え、海外からの乗客も利用できるようハード面、ソフト面での準備を整えるという。

シーボシーボーン・オデッセイ ダイニング レストラン
スタイリッシュなメインダイニング
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シーボシーボーン・オデッセイ ダイニング レストラン
スタイリッシュなメインダイニング

商船三井客船は販売商品は価格などについては、2023年の夏までに発表するとしている。日本発着のクルーズ商品を多彩にするとともに、世界一周クルーズなど中・長期クルーズも視野に入れているという。

 

船はどうアレンジされて変わるのか、はたまたどこが変わらないのか、そしてどんなクルーズが待っているのか。期待は尽きない。

 

ちなみに商船三井客船は船名も変更する予定だと明かしている。「シーボーン・オデッセイ」のオデッセイとは、「長い冒険旅行」という意味。「はるか丸」という船名はいかがだろうか。……発表の日を楽しみに待ちたい。

 

■商船三井客船公式サイト

https://www.nipponmaru.jp/

シーボーン・オデッセイ 外観 船体
船名や船内インテリアはどう変わるのか、気になる
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シーボーン・オデッセイ 外観 船体
船名や船内インテリアはどう変わるのか、気になる
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