クルーズが、船旅がさらに楽しくなる!
船について知れる本たち
向こうから来る船はどんな船なのだろう?
そもそも船はどうやって動いているのだろう?
港に停まっている船の内部はどうなっているのだろう?
そんな船について図解とともに知れる本を紹介していこう。
旅全般に言えることだが、知って旅するのと、知らないで旅するのとは、得られるものが少し異なる。もちろん心からリラックスするだけの旅も良いが、そこに知的好奇心がくすぐられるエッセンスがあると、旅がぐっと充実したものになる。
船旅で言えば、船についての知識があると、旅していながらも「なるほど」と思うシーンが多々あるはずだ。
■わかりやすい「解剖」イラストで、知られざる船内部へ
特に乗船前にチェックしたいのが、2021年10月の発売以来話題となっているプニップクルーズこと中村 辰美氏による著書「船体解剖図」(イカロス出版)。
おなじみのクルーズ船「にっぽん丸」を筆頭に、フェリー「きそ」「あざりあ」や伊豆諸島に行ける東海汽船のジェットフォイル「セブンアイランド結」、そしてレストラン船「シンフォニーモデルナ」など数々の船の内部が詳細なイラストとともに解説されている。タイトルに「解剖」と名がつくように、各船が表皮を切り開く解剖のように図解してあるのが秀逸。公共スペースと客室以外にも操舵室やエンジンのある機関室、船長室など、普段は足を踏み入れられないエリアもわかりやすくデフォルメして図解している。
さらには「乗るフネ」以外にも、「働くフネ」として、クルーズ船の出入港時に活躍するタグボートから遠洋マグロ漁船、美しい帆が特徴の練習帆船「海王丸」など、一般に乗る機会のない船の数々が図解されているのも興味深い。
好評により同著は続編「解体解剖図NEO」の発売が8月23日に決定している。こちらには弊誌の読者投票による人気第一位を走り続けるクルーズ船「飛鳥Ⅱ」やフェリー「さんふらわあ さっぽろ」、さらには日本初のLNG燃料船「さんふらわあ くれない」などの解剖図も掲載される予定だというから楽しみだ。
■船舶工学をベースに多方面から船を科学、最新情報満載
さらにこうした船の深部を紹介するのが、雑誌CRUISEでもしばしば執筆してくれている池田良穂氏による最新著書「最新図解 船の科学 基本原理からSDGs時代の技術まで」(ブルーバックス新書)。
「船の科学」と名付けられている通り、船舶工学をベースに多方面から船を科学している。船の歴史に始まり船体の構造やエネルギー、操舵性、さらには気になる安全性など専門的な知識が一般向けに解説されている。特筆すべきはハイブリッド船、太陽電池船やクリーン・エネルギーなど、SDGs時代ならではの技術や最新情報が盛り込まれていること。船の世界の進化が一冊に凝縮されている。
クルーズ前後にこれらの名著を読めば、船旅がさらに楽しくなるのはもちろん、にわか「船博士」になれるかもしれない。もちろん船上のお供にするのもよさそうだ。