便利なデジタルツールとともに
帰ってきたプリンセス
新しいサービスが続々と
●船内どこにでもピザを配達
メダリオンがその真価を最も発揮するのは、位置情報だろう。自分がいまどこにいるか、船内地図に表示されるのだ。スマホのほか、船内各所の大きなLEDパネルにも顔写真入りで表示される。現在位置だけでなく、行きたい施設までの最短ルートまで提示してくれるため、船内で迷子になることもない。
さらに、同行者を「シップメイト」として登録しておくと、その人の位置情報がわかる機能まであり、家族とはぐれる心配もなさそうだ(逆に居場所を知られたくない場合はシップメイトになることを拒否することもできる!)。
位置情報の活用例で最も画期的なのが、デリバリーサービスだ。客室やプールデッキ、アトリウム、泉の湯など、船内いたるところにドリンクや軽食を配達してくれるというもの。スマホのアプリで注文すると、「配達中」「乗組員が向かっています」の表示が出て、それから5分もしないうちにドリンクを届けてくれた。焼きたてのピザはホール(一枚)なので一人で食べるにはちょっと大きく、数人でシェアするのがいいだろう。朝食後、エスプレッソなどのスペシャリティー・コーヒーをビュッフェに届けてもらうのも使い勝手がいい。
メニューは限られていて「ノンアルコールのモヒート」といったアレンジはできないし、破損を避けるためかグラスがプラスチック製なのは残念だが、たった2ドルのジュースでもチップなしでどこにでも届けてくれるのは本当にありがたい(一部プランにより有料)。
そのほか、私がよく利用したのが「クルー・コール・チャット」。客室係にちょっとしたことを頼みたいとき、アプリのチャットに書き込めば、すぐに回答・対応してくれた。これまでは客室係を探したり、紙のメモを残したりと面倒だったが、チャットならお互い気軽だし、とても便利だ。
●新しいインクルーシブ
プールデッキのジェラートショップで注文していると、スタッフから「ユキコ?」と名前を呼ばれて驚いた。なぜ私の名前がわかったのだろう。尋ねると、店の付近にいる乗客の顔写真が店のタブレットに表示されるという。
今回はアルコール含むドリンク代やWi-Fi利用などをパッケージにした「プリンセス・プラス」を利用したので、本人確認のみで支払いが完了。メダリオンがID代わり、というわけだ。いちいち支払いの必要がないとは、なんて気軽なのだろう。
プリンセス・プラスは、一泊あたり8500円で、一杯15ドルまでのドリンクやスペシャリティー・コーヒー、チップ、有料フィットネスクラス2回分、プレミアム・デザート(一日2個まで)などが旅行代金に含まれたパッケージ・プランだ。さらに多くのサービスが含まれる「プリンセス・プレミア」(一泊1万2500円)もある。いちいち支払いの必要がなく、「これは有料? 無料?」と気にしなくていいことが、こんなにもストレスフリーになるとは思わなかった。まるでラグジュアリー船のようでもあり、これは新しいサービス形態として定着するに違いないと確信した。
Wi-Fiは無制限で利用でき、動画なども閲覧可能。オンライン会議も問題なくできそうだ。
今年8月からはさらにサービスが拡充され、デリバリーサービスやルームサービス、「海寿司」のセットメニューも追加代金なしで利用できるようになったそうで、ますます便利になりそうだ。