久々の海外クルーズへ
飛鳥Ⅱがみせる韓国、新旧の顔にふれる旅

■K-POPに世界遺産レクチャー
船内外で韓国をたっぷり楽しむ

福岡の博多港国際ターミナルに到着すると、多くの人でにぎわっていた。ここから「飛鳥Ⅱ」で3泊4日の韓国の旅、釜山・済州クルーズに出発だ。連休を含むせいか、乗船を待つ人々の年齢層が幅広い印象だ。小さいお子さんもちらほら。

船は夕方の5時に出航した。このクルーズは韓国2カ所に寄港するためか人気で、ほぼ満室だという。コロナ禍後、海外旅行の再開に選んだ人も多いのかもしれない。

船内にも韓国を楽しむプログラムが用意され、その晩は食後に、クラブ2100での「コリアンディスコ」に行った。K-POPグループBTSのヒット曲や『カンナムスタイル』などの曲が流れ、ダンスフロアで盛り上げてくれるクルーたちと一緒に、多くの人たちが踊る楽しいひとときだった。

その後はクラブ・スターズに移動してレクチャーを聞いた。リラックスした雰囲気の中、クルーズディレクターが釜山と済州島の世界遺産について、写真を交えて紹介。寄港する場所について知る良い機会にもなった。

翌朝、船が釜山港に入港する様子をデッキで見ながら、乗客の女性と話を交わした。福岡在住の方で、初代・飛鳥の頃から20年来乗船してきたそう。釜山には福岡から高速船でも何度か行ったことがあるが、今回このクルーズを知り、約2年ぶりに韓国に行くという。「飛鳥はクルーのサービスが洗練されているし、ゆっくり旅ができるから好きなんです。乗船自体も目的」と語る。船内の食事がお気に入りで、口を満足させてくれるのも良いと話してくれた。

釜山では、今昔の名所を楽しむという寄港地ツアーに参加した。最初に向かうのは釜山のほぼ最北部、金井山（クモジョンサン）にある「梵魚寺」（ポモサ）。韓国五代寺院のひとつに挙げられる仏教寺院だ。昔、金井山の頂上に金の井戸があり、天から降ってきた魚が泳いでいたという伝説が梵魚寺の名前の由来とのこと。何か神秘的なイメージが浮かぶ。

バスの中でガイドさんが、韓国の仏教や寺院について説明してくれた。土着の神様を一緒に祀ることもある、韓国ではお賽銭をあげる時に音を立ててはいけないのでお札が多い、仏像にお尻を向けないなど、いろいろと興味深い。

梵魚寺の入り口に到着し、参道を歩くと、色鮮やかに装飾された立派な門が立っていた。韓国の文化遺産にあたる宝物に指定されている一柱門だ。その先の古い石畳の奥に次の門があり、4体の四天王像が立っていた。迫力があるが、どこか和みを感じる表情だ。

本堂の大雄殿まで階段を約100段上る。自然豊かな山並みに囲まれた美しい場所だ。大雄殿ではお坊さんが読経中で、参拝者が外にまであふれて手を合わせていた。敷地に修道院もあり、滞在して修行体験ができる。この静かな環境で仏教を学ぶのも良さそうだ。

次の目的地は、釜山の最新の名所だ。長いビーチや高級ホテルが並ぶモダンなエリア海雲台（ヘウンデ）の高層タワー100階にある展望台BUSAN X the SKYだ。2020年にオープンしたという。

高層ビルが並ぶ通りを走りながら、ガイドさんが界隈の物価や住宅事情などを説明してくれた。「あの建物で国際映画祭が開かれます。その時期はホテル周辺でハリウッドスターが歩いているんですよ」など、地元のよもやま話も楽しい。

BUSAN X the SKYのあるタワーは韓国で2番目に高い建物だ。直通エレベーターに乗ると、天井や壁面にカラフルな映像が次々と映り、それに見とれるうちに100階に到着した。

展望台の高さは384メートル。ガラス窓越しに海岸線や高層ビル群、遠くの橋まで見え、すばらしい眺めだ。

床が透明になっている通路はスリル満点。展望台は98階まで続き、カフェや記念品ショップもある。しばし釜山の絶景を楽しんだ。