久々の海外クルーズへ
飛鳥Ⅱがみせる韓国、新旧の顔にふれる旅
集合時間までビーチ沿いを散策する間、ツアー参加中の二人連れの女性と話した。飛鳥Ⅱのリピーターの方が、長年の友人を誘って参加したという。週末と重なるタイミングが良く選んだとのこと。「飛行機でも来られるけれど、やっぱり飛鳥Ⅱに乗って来るのがいいんです」。船旅なら、ゆっくり話ができる時間も多いだろう。今回初めて乗船したという友人は、「お風呂が気に入って、3回入りましたよ」と大きな笑顔。飛鳥Ⅱの露天風呂もあるグランドスパを思い浮かべ、思わず大きくうなずく。お二人は、港に戻ったら近くの韓国料理店に行くつもりだと教えてくれた。寄港地観光ツアーと自由観光をうまく組み合わせるのも、すてきな旅になりそうだ。
船に戻り、夕日に染まる釜山の街を遠くに見ながら出港。翌朝は韓国の最南端、済州島に到着だと思うと、船旅はやはり楽で快適だ。
■船内で韓国ランチを味わい
韓国の絶景や歴史スポットを散策
翌朝、済州島の港では、民族衣装チマチョゴリ姿の女性たちがミネラルウォーターのボトルを配っていた。聞けば、火山島である済州島は、韓国有数の水の採水地とのことだった。
午後の寄港地観光ツアーに出かける前に、船内のフォーシーズンダイニングルームでランチをいただいた。メニューは楽しみにしていた韓国風の冷麺。麺のほど良い硬さの食感がいい。このクルーズでは、韓国の発酵酒マッコリのカクテルも用意されていた。旅先の料理文化に触れるのも楽しみのひとつなので、うれしい計らいだ。
寄港地観光ツアーではバスでまず、島の東部にあるサングムブリへ。済州島の言葉で「火山の噴火口」という意味だ。韓国人ガイドさんによると、済州島は約2 0 0万年前に海底火山の噴火でできた島とのこと。11月でも平均最低気温は8度と、マイルドな気候だ。
サングムブリの入口に到着すると、ずんぐりした形の巨大な石像が立っていた。「トルハルバン」だ。「石のおじいさん」という意味で、済州島のあちこちにあり、島の守り神だという。
サングムブリの巨大なクレーターの上まで歩いて行く。内部は緑の木々におおわれ、火口の印象がないが、周囲約2キロメートルという面積の大きさに圧倒された。帰りの下り坂は一面ススキの大平原だった。ここは済州島で指折りのススキの名所で、テレビドラマや映画の撮影にも使われたそう。
その後、島の中部に移動し、韓国最高峰の漢拏山の裾野にある観音寺(クァヌムサ)を訪問した。済州を代表する仏教寺院で、千年以上前に建立され、閉鎖や再建を経て、1964年に補修されたという。
参道沿いに、何十体もの石の仏像が並んでいた。頭上に乗った帽子の形の石がユニークで、アジアの仏教芸術が好きな者としては興味深い。本堂の大雄殿に収められた木造の観音菩薩坐像は、済州の有形文化財だ。丘の上の金色の弥勒大仏など、広い敷地に見るものが多い。やや駆け足だが、身軽に出かけ、楽に戻れるのは、寄港地観光ツアーの便利さなのだった。
博多港に戻る最終日はよく晴れて、美しい日の出を見ることができた。3泊4日の旅が終わりに近づく。福岡と韓国の近さをあらためて感じながら、今回、韓国の2都市とクルーズライフ両方を盛りだくさんに楽しむことができ、一石二鳥ならぬ、一石三鳥もの旅の思い出になるような気がした。
博多発着 連休利用 釜山・済州クルーズ 4日間
日程:2023年11月2日(木)〜11月5日(日)
コース:横浜〜釜山〜済州島〜横浜
クルーズ代金:194,500円(Kステート)〜
948,500円(Sロイヤルスイート)
船名:飛鳥Ⅱ(郵船クルーズ)
総トン数:5万444トン
乗客定員:872人/乗組員数:約490人