音楽と春の美食を楽しむ
洋上のフィルハーモニークルーズ

音楽と春の美食を楽しむ 洋上のフィルハーモニークルーズ
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2024.04.16
終盤のほう、全員で演奏したビゼーの「カルメン組曲」と「アルルの女組曲」が圧巻だった。このクルーズのためだけにアレンジされた特別な演奏だ
きらびやかに舞うように、溶け込むようにまろやかに

午前中、パームコートで再び室内楽コンサートが行われた。今回はモーツァルトの「フルート四重奏曲K.285」とハイドンの「弦楽四重奏曲『皇帝』第二楽章」と「『ひばり』第一楽章」だ。春のクルーズにふさわしいような、どこか牧歌的であり艶やかな旋律がパームコートに満ちる。

 

途中、「今日がお誕生日の方はいらっしゃいますか?」と客席への呼びかけがあった。数名の人が手を挙げたのを見て、演奏者たちがハッピーバースデーの曲を、弦楽奏のクラシックバージョンで麗しく演奏してくれて、会場が盛り上がった。偶然にもこの日は私の誕生日でもあり、思いがけず大変に良い記念になった。

 

今回のクルーズでは、食事時も春らしさを満喫できる時間だった。この日のランチは、季節限定「春御膳」。たらの芽やふきのとうの天ぷらや、桜ます桜葉焼き、菜の花昆布〆など、春らしい旬の食材の和食料理の数々が盛りだくさん。桜蕎麦や、天ぷらには桜花塩など、細部に至るまでの和のもてなしが本当に心楽しい。まずは目で楽しみつつ、おいしい味わいをたっぷり堪能した。

 

夜はいよいよ、ギャラクシーラウンジでのメインコンサートだ。満席の観客を前にして、新日本フィルの17名がステージに勢揃い。まず弦楽合奏、グリーグの組曲「ホルベアの時代から」で始まった。そして、気分が上がるクライスラーの有名曲「愛の喜び」、チャイコフスキーの華麗な「弦楽セレナーデ第二楽章」と続く。凛として艶やかな弦楽奏の調べにうっとりした後は、木管五重奏曲だ。クラリネット、オーボエ、フルート、ファゴット、ホルンの楽器で演奏したのはハイドン、ドビュッシー、そしてツェムリンスキーのユーモレスク「ロンド」。木管楽器一つ一つの音色がきらびやかに舞うかと思うと、溶け込むようにまろやかな音楽を醸す展開に魅了された。

 

そして、終盤は全奏者によるビゼーの「カルメン組曲」の前奏曲、アラゴーネ、ジブシーの踊り、そして「アルルの女組曲」のメヌエット、カリヨン、ファランドール。城さんが話したアレンジ部分の違いはよくわからなかったが、音楽に詳しい人ならきっと気がついたかもしれない。ホールいっぱいの大きな拍手に送られながら、新日本フィルのすべてのコンサートが終了し、すっかり上質な時間に浸れたという満足感に包まれた。

音楽の余韻とともに、心楽しい春の味わい

音楽鑑賞後は、余韻を楽しみながらフォーシーズン・ダイニングルームでのディナーへと向かう。この日はフレンチのコース「春の日ディナー」。テーブルに着くと、総料理長の瀧氏がマイクを持って料理について、一品ずつ説明してくれた。特製のチキンコンソメは初代「飛鳥」からの伝統で、仕込みに48時間かけることや、「サラダは3回和えてから食べてくださいね」など、遊び心あふれる説明が楽しい。飛鳥Ⅱならではの選び抜かれた食材を用いて、目で見て楽しく、意外性ある食感も楽しめる料理の数々を、おいしくいただいた。その晩は飛鳥クルーズのオリジナルワインもいただいた。ワイン業界の女性が審査を行う国際コンペティション「サクラアワード」で2024年にダブルゴールド賞を受賞したという「飛鳥クルーズオリジナル駒園甲州 2023」だ。飛鳥クルーズのスタッフ自らが山梨のぶどう農園に赴き、収穫や瓶詰めなどの作業をしたワインだというから驚いた。フルーティーかつ甘すぎない味わいで好みだ。

 

ところで、このクルーズにはもう一つの初めても乗船していた。ニコライ バーグマン フラワーズ & デザインのオリジナル プリザーブド フラワー アレンジメントを導入し、初お披露目をしたのだ。フォーシーズン・ダイニングルームの各テーブルの上には、飛鳥Ⅱのためだけにデザインされたフラワーキューブが用意され、食卓を彩っていた。レストランの入り口には、ブランドのシグネチャーアイテムであるフラワーボックスをタワー状に積み重ねたボックスタワーがディスプレイされていた。飛鳥Ⅱのブランドカラーと海の美しさからインスピレーションを受けたというブルーの色づかいが涼やかだ。

 

最終日の朝、飛鳥Ⅱは航行していた駿河湾付近から戻り、横浜港に近づいていた。外は春めいた霞空だ。朝食時、コントラバス奏者の城さんにばったり会い、ギャラクシーラウンジでの話を聞くと、大きなコントラバスを持って立っていたため、船の揺れを少し感じたけれど、気合で乗り切ったとのこと。エレガントなたたずまいの飛鳥Ⅱ船内で新日本フィルのクラシック演奏を聴く体験はとても素晴らしく、いつかまた行なってほしいと感じる春の旅だった。

ギャラクシーホールで聴く弦楽合奏は、ラウンジコンサートの時よりさらにきらびやかな選曲だった
CRUISE GALLERY
ギャラクシーホールで聴く弦楽合奏は、ラウンジコンサートの時よりさらにきらびやかな選曲だった
11デッキ船首側にあるビスタランジは、前方を広く見渡しながらドリンクなど楽しめるくつろぎの場所だ
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11デッキ船首側にあるビスタランジは、前方を広く見渡しながらドリンクなど楽しめるくつろぎの場所だ
飛鳥Ⅱの女性バーテンダーが考案したという、春限定のおすすめカクテルも楽しんだ。ロゼワインにハーブリキュールを合わせ桜の花びらを浮かべた「桜花爛漫」(右)とノンアルコールのスパークリングワインをベースにした「春風」(左)
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飛鳥Ⅱの女性バーテンダーが考案したという、春限定のおすすめカクテルも楽しんだ。ロゼワインにハーブリキュールを合わせ桜の花びらを浮かべた「桜花爛漫」(右)とノンアルコールのスパークリングワインをベースにした「春風」(左)
このクルーズからお目見えした、ニコライ バーグマン フラワーズ & デザインのオリジナル プリザーブド フラワー アレンジメントが、フォーシーズン・ダイニングルームの各テーブルを華やかに彩っていた
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このクルーズからお目見えした、ニコライ バーグマン フラワーズ & デザインのオリジナル プリザーブド フラワー アレンジメントが、フォーシーズン・ダイニングルームの各テーブルを華やかに彩っていた
2日目のランチ「春御膳」のメニューの一部。春らしいモチーフが散りばめられていて、目で楽しんでからいただいた
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2日目のランチ「春御膳」のメニューの一部。春らしいモチーフが散りばめられていて、目で楽しんでからいただいた
2日目の「春の日ディナー」のメニューの一つ、カプレーゼ マリネサーモン。食材のモッツァレラチーズは八丈島のチーズブランドをセレクト。飛鳥IIオリジナルのオニオンドレッシングと共に
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2日目の「春の日ディナー」のメニューの一つ、カプレーゼ マリネサーモン。食材のモッツァレラチーズは八丈島のチーズブランドをセレクト。飛鳥IIオリジナルのオニオンドレッシングと共に
春らしい色の春かぶのポタージュ カプチーノ風。ビーツと白味噌、パルミジャーノが美味しさの隠し味。まさにカプチーノのような遊び心が楽しい
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春らしい色の春かぶのポタージュ カプチーノ風。ビーツと白味噌、パルミジャーノが美味しさの隠し味。まさにカプチーノのような遊び心が楽しい
金目鯛と彩り野菜のサラダ仕立て。総料理長瀧氏より、3回あえてから食べてみてくださいとのこと。意外な食感とともにおいしく味わった
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金目鯛と彩り野菜のサラダ仕立て。総料理長瀧氏より、3回あえてから食べてみてくださいとのこと。意外な食感とともにおいしく味わった
東京を拠点に活躍するデンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏が考案した、フラワーボックスを積み重ねたボックスタワーが、フォーシーズン・ダイニングルームの入り口にディスプレイされていた
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東京を拠点に活躍するデンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏が考案した、フラワーボックスを積み重ねたボックスタワーが、フォーシーズン・ダイニングルームの入り口にディスプレイされていた
ペンアイコン取材メモ

春の調べ 新日本フィルハーモニー クルーズ
日程:2024年3月22日(金)~24日(日)
コース:横浜~横浜
クルーズ代金:132,500円(Kステート)~662,500円(Sロイヤルスイート)
船名:飛鳥Ⅱ(郵船クルーズ)
総トン数:5万444トン
乗客定員:872人/乗組員数:約490人

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