人生を“美しく”する船旅
MSCベリッシマで沖縄の島々と台湾をめぐる
「楽しい」が記憶に残る食事体験
前評判通りだったMSCベリッシマの食事。エンターテインメント性も高く、毎回楽しい時間となった。
クルーズ代金に含まれるメインダイニングのディナーは、前菜からデザートまで好みの料理を選ぶプリフィクスコース。地中海料理を中心としたメニューは、日本でもなじみのある料理が多く、親しみやすい。味付けもシンプルでソースもくどくないので日本人の口に合うし、ひと皿が重すぎないのもいい。
早朝から深夜までオープンするマーケットプレイスのビュッフェは、時間帯により提供料理が異なり、種類も豊富で訪れるたびに発見があった。窯出しの焼きたてピザや、同フロアの工房で作るフレッシュなモッツァレッラチーズなどの名物メニューをめがけて訪れる人も多く、隣席から「これが食べたかったのよ」なんて声が聞こえると、ちらりのぞき見、ついもう一品と手を伸ばしてしまったことも度々。
船内には4つの有料レストランもあり、いつくか利用したが、それぞれが趣向を凝らした料理や演出で、旅をより味わい深いものにしてくれた。好きな時間に予約もできるし、気軽に飛び込んでもOK。ドリンクも各店独自の味わいがあり、軽食メニューも用意があったので、ディナー前後に軽めに楽しむカジュアルな使い方もよさそうだ。
もうひとつ、利用して良かったと感じたのがドリンクパッケージだ。船内にある20のバーやラウンジがぐっと身近になり、行動範囲を広めてくれた。クルーとのコミュニケーションが自然と増えるので、バーの前を通りかかると「今日は飲んでいかないの?」と声をかけられることも。ソフトドリンクも充実していて、ノンアルコールカクテルのグラスを傾ける夜もなかなか乙なものだった。
レストランやバーでは、陽気で心地よいサービスがより一層楽しさを倍増させた。イタリアにルーツを持つMSCベリッシマ。クルーは多国籍だが、皆ノリが良くフレンドリー。人生を楽しむ術を知るイタリア人のスピリッツを何度も感じさせられた。















沖縄の島々を船でめぐるぜいたく
覇発着クルーズでは、船上から表情豊かな海の色が目に映るたびに、沖縄の島々を船で旅することがどれほどの特別感に満ちたことかを知った。
同クルーズは那覇港で1泊し、翌日の夜に出港するというユニークな航程。ショートクルーズでは船内時間が足りなかったと感じることも少なくないが、2日目は終日船内を堪能した人も多かったようだ。一方で、発着地を満喫したい乗客も喜ばせるという絶妙なスケジュールだった。
各寄港地では公共機関などを活用して大いに満喫した。宮古島や基隆は、港から街の中心部まで歩いて10分程度。ターミナルが離れた場所にある那覇や石垣島では、同船によるシャトルバスサービスが便利だった。しかし、島は存外に広く、ツアーや車利用の方がやはり効率はよい。石垣島や宮古島ではレンタカーやタクシーチャーターの利用が目立ったが、基隆ではツアー参加者が圧倒的に多かった。台北や九份など自力で行くにはやや遠いスポットをめぐる現地ツアーが充実し、台湾初心者ならずとも利用価値が高い。
イタリア語で“最も美しい”という名を冠する船に乗船するにあたり、“美しい”の意味を改めて調べた。目や耳、心にうっとりと訴えてくるさま、心地よさを感じさせるさま、豊かで感銘を受けるさま。紛れもなく、この船は “ベリッシマ”だった。旅は人生を豊かにすると言うが、MSCベリッシマの旅は人生の美しさを教えてくれるだろう。
今回残念だったことがひとつ。連日朝晩の天気が悪く、夕日も星空も朝焼けもなかなか見られなかった。今年11月からの同クルーズでリベンジしようと誓った。










