洋上で進化する“自由なクルーズ”
新造船「ノルウェージャン アクア」

その新型客船「ノルウェージャン アクア」が就航した。
最新型「プリマクラス」を踏襲しつつ、さらに10パーセントサイズアップして、
船内各所がアップデートされていた。ニューヨークに来航したタイミングで
船内に乗り込み、その革新的な施設とサービスを体験した。


「ゴージャス!!!」
ニューヨークのターミナルに停泊中の「ノルウェージャン アクア」を初めて見た乗客が、大声で叫んだ。色彩豊かな船体ペイントを見て、まったく同感!
ノルウェージャン アクアは、本誌2023年春号で紹介した「ノルウェージャン プリマ」の後継船。船型や施設は似ているが、10パーセントサイズアップしている。「好評の施設を受け継ぎ、さらにゆったりとした動線を確保した」と、NCLのデビッド・ヘレーラ社長は言う。「サイズアップ以外にも、多くの挑戦がある」と付け足しながら。
その挑戦のひとつが、世界初の「アクア スライドコースター」。ローラーコースターとウォータースライドがひとつになった新アトラクションと聞いて、「子供向け」と侮ってはいけない。コースターがマンハッタンの摩天楼をバックに超高速で滑りだすと、老若男女、歓声を上げずにはいられない。
気づけば二度三度とコースターに乗り、プールデッキのジャグジーに体を沈めて温まった。水と戯れる・・それが本来の船旅の醍醐味かもしれないと思いながら。






海を近くに感じ、
ゆったりとしたプレミアム感を味わう
クルーズ船はよく「動くホテル」と言うが、巨大な大型客船に乗っていると、その「動く」部分を感じる機会が少なかったりする。揺れもなくエンジン音も静かで、さらに海までの距離があったりするとなおさらだ。
一方でこのノルウェージャン アクアは、船旅の本来の良さ、大海原をぬって走る爽快感を思い出させてくれるシーンが多い。
例えば3層吹き抜けのアトリウムでは、海に面した側面には巨大なガラス窓がはめられ、波しぶきをあげて進む様子が見て取れる。ここにはおなじみのスターバックスコーヒーもコーヒーのカウンターもあり、ソファでコーヒー片手に語らう人の姿が絶えない。
スパのリラクゼーションエリアも、前面がガラス張りで眺望抜群。そこにニューヨークの摩天楼が広がる光景は、絵葉書が目の前にあるようで、うっとりとした。



船尾に位置するバイブビーチクラブには多数のデッキチェアが並び、天気がいい日はここで読書にふける人の姿が見られた。これだけ施設の充実した船だから、ついあれもこれも体験したくなるが、ここで日がな読書にふけるのが船旅本来のぜいたくかもしれない。
ノルウェージャン プリマから登場した「オーシャンブルーバード」は、この船でも健在。船体の両サイドに設置された広々としたアウトサイドデッキだ。ゆったりと座れるソファあり、水平線と一体化するような感覚を覚えるインフィニティープールあり。近くにカフェやバーもあるから、ドリンクを片手に眺望を楽しめる。


「日本からわざわざ来たの? 私は隣のニュージャージーよ」
外でジャグジーに入っていたら、カップルが声をかけてくれた。この船にいると、ジャグジーや朝昼のダイニングやバーで、隣の人から自然に声がかかる。
ノルウェージャン アクアは総トン数15万6300トン、乗客定員3571人。大型船にしては乗客一人当たりの空間=スペースレシオが類を見ないほど広い。ドレスコードもなく、カジュアルにクルーズを楽しめるが、どことなくその空気はプレミアム感が漂う。
何より「皆で海を旅している」という一体感があるせいだろうか。同じ人とすれ違う機会が少ない大型船ながら、気さくで親密な空気感が心地よい。

