洋上で進化する“自由なクルーズ”
新造船「ノルウェージャン アクア」

洋上で進化する“自由なクルーズ” 新造船「ノルウェージャン アクア」
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2025.06.27
自由なクルーズスタイルを提案するノルウェージャンクルーズライン(NCL)。
その新型客船「ノルウェージャン アクア」が就航した。
最新型「プリマクラス」を踏襲しつつ、さらに10パーセントサイズアップして、
船内各所がアップデートされていた。ニューヨークに来航したタイミングで
船内に乗り込み、その革新的な施設とサービスを体験した。
写真・文=吉田絵里
ニューヨークのハドソン川を航行するノルウェージャン アクア。カラフルな船体はNCL客船の象徴。ペイント・デザインには、ナイキやグーグルなど世界的なブランドとのコラボで有名なアーティスト、アリソン・ヒューマン氏が担当した(画像:ノルウェージャンクルーズライン提供)
曲線を描くスライドコースターのコースがこの船の目印。船上にこれほど巨大なものを造る発想自体が、革新性と創造力、そして技術力を感じさせる。Aqua_Slidecoaster Supporting
CRUISE GALLERY
曲線を描くスライドコースターのコースがこの船の目印。船上にこれほど巨大なものを造る発想自体が、革新性と創造力、そして技術力を感じさせる。Aqua_Slidecoaster Supporting

「ゴージャス!!!」
ニューヨークのターミナルに停泊中の「ノルウェージャン アクア」を初めて見た乗客が、大声で叫んだ。色彩豊かな船体ペイントを見て、まったく同感!

 

ノルウェージャン アクアは、本誌2023年春号で紹介した「ノルウェージャン プリマ」の後継船。船型や施設は似ているが、10パーセントサイズアップしている。「好評の施設を受け継ぎ、さらにゆったりとした動線を確保した」と、NCLのデビッド・ヘレーラ社長は言う。「サイズアップ以外にも、多くの挑戦がある」と付け足しながら。

 

その挑戦のひとつが、世界初の「アクア スライドコースター」。ローラーコースターとウォータースライドがひとつになった新アトラクションと聞いて、「子供向け」と侮ってはいけない。コースターがマンハッタンの摩天楼をバックに超高速で滑りだすと、老若男女、歓声を上げずにはいられない。

 

気づけば二度三度とコースターに乗り、プールデッキのジャグジーに体を沈めて温まった。水と戯れる・・それが本来の船旅の醍醐味かもしれないと思いながら。

摩天楼をバックに、スリリングな新アトラクションに挑戦
10階分の高さからクルクルと滑降できるスライダー「ザ・ドロップ」。とにかく童心に戻って潮風を感じながら体を動かす体験をしたい船だ
メインプールは4月のニューヨークでも泳いでいる人がいた。両脇にふたつずつジャグジーを備えているので、すぐに温まれるのも、プールに親しみやすい理由
CRUISE GALLERY
メインプールは4月のニューヨークでも泳いでいる人がいた。両脇にふたつずつジャグジーを備えているので、すぐに温まれるのも、プールに親しみやすい理由
カラフルな外遊びデッキもあり、ファミリーからも人気
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カラフルな外遊びデッキもあり、ファミリーからも人気

海を近くに感じ、
ゆったりとしたプレミアム感を味わう

 

クルーズ船はよく「動くホテル」と言うが、巨大な大型客船に乗っていると、その「動く」部分を感じる機会が少なかったりする。揺れもなくエンジン音も静かで、さらに海までの距離があったりするとなおさらだ。

 

一方でこのノルウェージャン アクアは、船旅の本来の良さ、大海原をぬって走る爽快感を思い出させてくれるシーンが多い。

 

例えば3層吹き抜けのアトリウムでは、海に面した側面には巨大なガラス窓がはめられ、波しぶきをあげて進む様子が見て取れる。ここにはおなじみのスターバックスコーヒーもコーヒーのカウンターもあり、ソファでコーヒー片手に語らう人の姿が絶えない。

 

スパのリラクゼーションエリアも、前面がガラス張りで眺望抜群。そこにニューヨークの摩天楼が広がる光景は、絵葉書が目の前にあるようで、うっとりとした。

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NCL定番のマンダラ スパ Rにあるリラクゼーションエリア。ベッドで寝そべりながら、海や寄港地の光景を楽しみたい(スパエリアは有料、一日99ドル~)
マンダラ スパ R内のバイタリティプール&フローティングソルトプール
3層吹き抜けで開放感のあるペンローズ・アトリウム。船内デザインを手がける「スタジオダド」のスタイリッシュなセンスがいきる

船尾に位置するバイブビーチクラブには多数のデッキチェアが並び、天気がいい日はここで読書にふける人の姿が見られた。これだけ施設の充実した船だから、ついあれもこれも体験したくなるが、ここで日がな読書にふけるのが船旅本来のぜいたくかもしれない。

 

ノルウェージャン プリマから登場した「オーシャンブルーバード」は、この船でも健在。船体の両サイドに設置された広々としたアウトサイドデッキだ。ゆったりと座れるソファあり、水平線と一体化するような感覚を覚えるインフィニティープールあり。近くにカフェやバーもあるから、ドリンクを片手に眺望を楽しめる。

天気の良い日は日光浴する人でにぎわうバイブビーチクラブ。18歳以上限定の空間
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天気の良い日は日光浴する人でにぎわうバイブビーチクラブ。18歳以上限定の空間

「日本からわざわざ来たの? 私は隣のニュージャージーよ」

 

外でジャグジーに入っていたら、カップルが声をかけてくれた。この船にいると、ジャグジーや朝昼のダイニングやバーで、隣の人から自然に声がかかる。

 

ノルウェージャン アクアは総トン数15万6300トン、乗客定員3571人。大型船にしては乗客一人当たりの空間=スペースレシオが類を見ないほど広い。ドレスコードもなく、カジュアルにクルーズを楽しめるが、どことなくその空気はプレミアム感が漂う。

 

何より「皆で海を旅している」という一体感があるせいだろうか。同じ人とすれ違う機会が少ない大型船ながら、気さくで親密な空気感が心地よい。

バンドによる生演奏などが行われるシドノーマンズ ポアハウス
気軽に立ち寄れるバーやラウンジが18カ所もある
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