いしかり就航15周年、未来へつなぐ航路

いしかり就航15周年、未来へつなぐ航路
CRUISE STORY
クルーズストーリー
2026.06.29
太平洋フェリー「いしかり」の就航から今年15年を迎えた。あの日から始まった15年間の航海で、変わったこと、変わらないこと。そして、ある思いがさらに未来へとつながってゆく。
文=カナマルトモヨシ
澄み渡る青空に映える「いしかり」のファンネル。白と青が、ぽっかり浮かぶ雲と晴れた空そして船がゆく紺碧の海をあらわすかのようだ
あの日を思う北海道航路

2011年3月11日。太平洋フェリーの新造船「いしかり」の東京内覧会が晴海ふ頭で行われた。それが筆者といしかりの初めての出会いだった。ラウンジ「ミコノス」では山田成宏船長への東京入港盾の贈与、佐藤仁機関長への花束贈呈のセレモニーがにぎにぎしく催された。続いて渡邊哲郎社長(当時)のスピーチが行われる。

 

「若い人たちにもっと興味を持っていただきたいから、このような立派なフェリーを造った」という締めくくりの言葉が、いまでも忘れられない。

 

お昼にはレストラン「サントリーニ」でバイキングスタイルのランチがふるまわれ、太平洋フェリーオリジナルワインもいただく。

 

その後、柳原良平さん(イラストレーターにして太平洋フェリー名誉船長)による即興の描画がプロムナードで始まった。良平さんの周りに人垣ができる。青い壁にいしかりのイラストを描き終えた良平さんは、ソファに腰かけるとジョッキになみなみと注がれたアルコール飲料をおいしそうに飲む。誰かが言った。「先生、それはトリスですか?」。「残念ながらそうじゃないんだよねえ」。良平さんがにこやかに答えると、場内から笑いが起こった。

 

あれからちょうど15年。202 6年3月11日午前5時51分。いしかりのデッキで朝日を拝む。北へと針路をとる船のデッキは凍てつく空気に包まれていたが、少なからぬ乗客が日の出を撮影する姿が見られた。

 

寒さから逃れるようにプロムナードへ。良平さんが描いた壁画の前にあるソファに腰かける。15年前のきょう、良平さんがしたように。壁画右下には山田船長の名義で壁画の説明文が添えられている。

 

「こちらの絵は太平洋フェリー名誉船長である柳原良平先生が東京での就航披露内覧会で描かれたものです」と。そして、こう続く。 「この内覧会の終了後、東北関東大震災が発生いたしました。」

いしかり就航15周年、未来へつなぐ航路
まるで古代ギリシャの神殿を思わせる白亜の展望エレベーターがそびえたつエントランスロビー。この光景を目にした瞬間、「いしかり」の旅は始まる
関連記事
TOPへ戻る
シェアアイコン