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国交省、2030年までに日本のクルーズ人口を100万人に増やす目標値を設定

2025.06.26
業界

国土交通省海事局は26日、第4回目となる「日本のクルーズ市場の持続的発展へ向けた有識者会議」を開催、とりまとめ案を作成し、各委員の了承を得た。このとりまとめ案の中で、2030年の日本人のクルーズ人口を100万人とするという目標値を掲げた。

 

座長を務めた大阪府立大学名誉教授の池田良穂氏は報告書の概要として以下のように説明した。

 

●国土交通省の海事局が立ち上げた今回の有識者会議は、大学研究者、シンクタンク、クルーズ関連団体の代表者、マスコミ関係者、ライター、行政関係者からなる18人の委員で構成され、今年2月からほぼ毎月委員会を開催し、検討を重ねた。

 

●クルーズは世界的にも急成長を遂げているレジャーで、最新のCLIA(Cruise Line International Assosiation)のレポートによると、1年間にクルーズに乗船する人の数、すなわちクルーズ人口は3460万人にのぼる。対して日本のクルーズ人口は2024年が22万人あまりで、2019年に35万人から下落して、まだ完全には回復していない。世界のクルーズの経済規模は、日本円で24兆円の規模。日本は海洋国家としてクルーズ産業を発展させていきたいというのが、今回の有識者会議設立の目的。

 

●目標は2030年に日本のクルーズ人口を100万人にすること。その背景として最近になって新しい風が吹き始めている。日本郵船と商船三井の両社が、傘下のクルーズ運航線を増強し、また東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドが14万トンという大型クルーズ客船を建造し、日本船として運航すると発表した。また外国船による日本発着クルーズも年間を通じて行われている。こうした追い風が吹く中、クルーズ産業の成長を後押しする願いと処方箋をこの報告書に入れている。

 

池田座長は「日本のクルーズ人口を増やすことは、寄港する日本各地に経済波及効果を及ぼし、また飛行機と連携したフライ&クルーズによってインバウンドの観光客も誘致できることから、日本が目指す観光立国への大きな貢献が可能だ。海に囲まれた日本は、輸出入の99.6パーセントを船舶による貨物輸送に頼っている海運立国だが、これに乗客を扱うクルーズを加えることで、新しい海事クラスターが形成され、国民に海事産業の魅力を発信することにもつながると考えている。多くの国民がクルーズに乗船し、海から日本を見ることから、海事思想の普及にも貢献が可能になる。今後の日本のクルーズ産業の発展に、本報告書が役立つことになればうれしい」と抱負を述べた。

 

写真は検討会の様子

 

国交省、2030年までに日本のクルーズ人口を100万人に増やす目標値を設定
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